管理人はだれ！？

2015年10月20日「火曜日」更新の日記

私達の土地には隣地境界線のクイが打たれ、工事車が地面を掘り返し地盤を掘り、割栗石を敷き詰め、圧力をかけて突き固める「根切り一から、ユニット鉄筋を縦横に配した「基礎配筋」、そして「土台の施工」と8月の照りつける太陽のもと、工事は着々と進んでいく。それを眺める心境は、さしずめ妊娠初期のそれと似ていると思った。全く未知の経験。現実に姿をこの目で見ないと確かめられない自分の気持ち。でも確実に進化していく。家の形は、やがて生まれてくる初めての子供に似ている。「こんな頑丈な基礎工事は見たことがない」実際に何人かの人が現場を見に来て、Ｍハウスの施工に感心したのもこの時期だ。素人目にも、これまで見に行った建て売り住宅とは基礎に使う鉄筋やボルトが数段、頑丈に思えた。夫もこの時ばかりは、たて続けに現場に行き、写真を満足そうに撮っていた。私が求めていた安全な構造のもとが、ここにあると思った。その一方で私は、相変わらず週末ごとに夫と共に車を飛ばして、郊外のホームセンターやアンティーク家具、タイル屋を駆けずり回っていた。もうすぐ照明器具やキッチン、トイレなどの設備を決定する設備打ち合わせがある。それまでにイギリス風の家を決定づけるものを探し出さなくてはと焦った。Aさんも、設計士から紹介されたというディスプレイ専門誌を買ってきて私達に見せてくれた。その中に、アンティークな店舗設計を得意とする名古屋にある会社が施工した、古びた喫茶店の実例が載っていた。早々にカタログを取り寄せたが、1699～1899年代のイギリス製ハンドメイド・アンティークレンガから、チェンジ・ウッドと呼ばれるイギリスで199年以上の時を経た家屋の材料まで、コンテナで輸入されるそれらの部材は、とても素晴らしかった。ただし、それに準じて価格も張った。外構でぜひ使いたいと思っていたイギリス産の天然石の敷石も、施工すると1平方メートル3万円からする。どうしてもリビングのアクセントにしたかったアンティーク・ビームも、ノタ付き、ホゾありなどバリエーション豊富でカタログを見て一目ボレした。しかし1本売りでの取り寄せは対応が難しいようで、これも諦めるしかなかった。

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