管理人はだれ！？

2016年9月26日「月曜日」更新の日記

あまりにも無策のまま賃貸マンションを建てる地主さんや不動産オーナーさんが多い現状に、「今、なんとかしなければ、不幸になる人が増える一方だ」という危惧を抱いたからです。これまで、マンション経営や不動産投資について語られるとき、書籍でもセミナーでも、そのメインは「経済効率」でした。しかし、多くのオーナーが経済効率のみを追求した物件を増やした結果が、現在の厳しい状況を生み出しました。私たちは、今一度、改めて考えてみる必要があると思うのです。「賃貸経営における本来の目的は、どこにあるのか？」。きっと、そこには家族の幸せだったり、生きがいだったり、人助けだったりという金銭的な目的以上に、大きな想いがあるはずです。私たち「賃貸創造研究所」は、オーナーの利益とは、オーナーファミリーの利益だと考えています。これまでのコンサルティング会社は経済性だけを追求するあまり、ややもすると馬鹿息子を作ることになりかねないような提案をしてきました。必要以上に不動産にお金を生ませたことが原因で、子供が働かなくなったという笑えない話が全国に溢れています。大金を手にしたことがきっかけでもめ事が生じて、仲の良かった家族がバラバラになってしまうような話も珍しくありません。お金は人を幸せにすることができる道具であると同時に、人を狂わせることもあるのです。コンサルタントは、その点もわかった上で、お金と幸せのバランスがちょうどよくなるような提案をする必要があるのではないでしょうか？経験したひとつの事例を紹介しましょう。あるとき、相続で5000万円近い税金を支払わねばならなくなった男性が、相談に訪れました。最初、この方の口から出たのは、「仕方がないから、持っている不動産を売却しようと思います」という言葉でした。そこで、「わかりました」といって売却のお手伝いをすれば、手数料が私たちの利益になります。しかし、私たちは、「ちょっと待ってください。その前に、まずは資産背景を全部教えてください」とお願いしました。相続対策では、全体を見て、なすべきことを考えることが重要です。急いで不動産を売却し、相続税を支払うことができても、それがその時点でベストな選択かどうかはわかりません。そして調べてみると、その方の事業収入が極端に少ないことが判明しました。仕事は自営業でソバ屋さんだったのですが、確定申告をみると、利益は年間100万円程度なのです。生活の主な収入源は、隣にある駐車場から入る月々50万円程の売り上げでした。ソバ屋さんは、相続税の資金を作るために駐車場を売却しようとしていました。しかし、それではその後の生活が成り立たなくなってしまいます。結局、この方は私たちの提案で、土地を担保にマンションの建築費と相続税の資金分の融資を受け、5階建てのマンションを造りました。その結果、土地を売らずに相続税を無事に納めることができ、さらに、月々100万円程度のキャッシュフローを得る状態になりました。すると、ソバ屋さんは、お金に対する価値観が変わってしまったようです。 <041501・お金> 「マンション経営って儲かりますね。今度、自宅もソバ屋もつぶして、もう一棟マンションを建てようと思います」といい出しました。もちろん、私たちは反対しました。その家には、当時、お店を手伝っている20代の息子さんがいたからです。ソバ屋をつぶせば、息子さんの未来はどうなるのでしょう。職場をなくし、賃貸マンションからの多額の収入を得るようになれば、左団扇のダメ息子ができあがってしまうかもしれません。「まずは、ソバ屋さんの経営を立て直すことが先決ではないですか？　せっかく息子さんに継ぐ意思があるのに、年問100万円では長く続きませんよ」そう私たちが返事を返すと、そのソバ屋さんは、「じやあ、いいよ」といい、そこからしばらくの間、連絡が途絶えてしまいました。半年程経過した頃、久しぶりに連絡がありソバ屋さんを訪ねると、そこには建築会社の提案書が3つ並んでいました。ソバ屋さんはいいました。「おたくが受けてくれなかったから、建ててくれるところを探したら3つほどいいところがあったよ。どこがいいか、見てくれないか」提案書を見てみると、やはり、数年で空室だらけになりそうな提案ばかりです。これは放っておいたらこの家族が大変なことになる、と結局、私たちが2棟目のマンション建築をお手伝いすることになりました。そのときに最も留意したのが息子さんの気持ちです。私たちは息子さんとじっくり話しあう時間を設け、息子さんのお店を続けたいという意思を確認した上で、1階が店舗でその上がマンションという建物を提案しました。途中、息子さんと一緒に行列ができるラーメン屋さんに出かけてリサーチしたり、おいしいソバを作るためにはどうしたらいいのかについて話し合ったりもしました。経済効率を考えれば、年間100万円しか儲かっていないソバ屋を残すより、一階にテナントを入れて賃料を得たほうがいいのはわかりきっています。しかし、不動産は人間が生きる場所であり、人が成長する場所でもあります。そこで私たちは、家族みんながちょうどいい豊かさと生きがいを手に入れられるよう、1階にソバ屋さんを残したマンションを建てたのです。その後、息子さんが経営の中心となり、ソバ屋さんの経営は少しずつ上向いているといいます。その金額は決して大きくありませんが、なんとか店を成功させようと奮闘する息子さんの様子に、ご両親は「店を残してよかった」と満足そうに話してくださいました。このように、不動産は人間の人生と密接に結びついています。まず人間ありき、生き方ありきで考えるべきであり、お金との優先順位を間違えてはいけません。家族のしあわせを考慮して、資産活用を考えるなら、土地だけを見て、「うちでマンションを建てれば、毎月これだけの利益が出ますよ」と、何の特徴もないマンション建設をすすめることなどありえないはずです。賃貸氷河期は、年を追うごとに厳しさを増していきます。それでも賃貸マンションを建てるなら、真剣に勉強して下さい。それが難しいなら、信頼できるコンサルティングパートナーを選びましょう。そして、もしその相手が見つからないときは、どうぞ私たちにご相談ください。賃貸マンション経営で失敗するオーナーさんを一人でも減らし、オーナーさんとご家族の幸せをサポートすること、それが私の心からの願いです。

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