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暴落マンションの品質は大丈夫か

2016年10月30日「日曜日」更新の日記

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地価や建築費の値下がりは、仕入れコストの低下である。この状況下で建築に着手したマンションの販売が開始されるのは、九二年四~五月以降のことである。したがって、単純計算すれば、利益を削らなくてもマンション価格は九一年よりさらに三〇%くらい下げられるということになる。実際は単純計算どおりに事は運ばないが、それでも値下がりするマンションが増加することは間違いないだろう。ただ、価格引き下げマンションで注意しなければならない問題点がある。それは、坪一二〇万円の建築費を七〇万円台にまで引き下げるには、建物の規格化をかなり強力に推進しなければならないということである。建物の外観デザインを例にとると、従来のようなファッショナブルなデザインのマンションはなくなる。実用本位の外観になってくるだろう。そして、システムーキッチンや浴槽、洗面化粧台その他の設備機器も実用性本位の品に代えられるし、間取りも一戸建てに近い複雑なプランは姿を消して、長方形の枠の中に個室などをレイアウトした単純な形の間取りが多くなってくることが考えられる。そして、建設会社の技術開発力次第によっては、建築費の引き下げが品質性能の低下につながりかねない危惧もあることに注意しなければならない。一例をあげると、コンクリートスラブが薄くなる、床下地を少なくするとか、排水管の縱系列を少なくするなどがそれであり、これらの品質低下は居住性の低下を招くことになってしまう。同じ建設会社でも、マンションエ事の受注比率が高いところと低い企業とでは、技術開発力にかなりの差がある。比率の高いゼネコンは、いかに品質性能を落とすことなく建築費を下げるかに、相当の研究期間を費やして、合理的システムを開発している。ところが、受注比串の低い建設会社のなかには適当な手法でコストを引き下げて、ある程度の品質性能の低下は止むを得ないと割り切ってしまうこともあり得るのである。

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