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郊外は足場が組めるからしっかりした

2016年11月27日「日曜日」更新の日記

2016-11-27の日記のIMAGE
都内の家を見て歩くと、郊外の家とは明らかに住まいの質が違うと感じることがあります。ひと言でいうと、かなり無理をした作りになっている、という点です。これは建築を知っている人が見ればすぐにわかります。たとえば、東京都内で外壁を貼る方法と、郊外で貼る方法とでは大きく異なります。通常、家を建てるときには、建物の周囲に足場を組んで外から外壁を貼っていきます。しかし東京都内では、たいていの場合、隣家との間があまりにも狭いので、足場を組むことができません。そのため、建物の内側から外壁を貼っていくことになります。家同士が接近していることによって、工事の仕方に無理が生じているのです。工事の方法が違うと、建物の頑丈さも残念ながら違ってきてしまいます。足場を組まずに無理をして建てる場合、板金を使って、無理をリカバリーします。板金とは薄い金属のことで、車のボディーなどに使われているものです。中でも板金がよく使われるのが、「雨仕舞い」です。雨仕舞いとは、雨水が家の中に入らないように、外側に流す工法のことです。外壁や屋根の工事は複雑な工程が多いのですが、足場が組めないために、それができません。ですから本来は瓦で納めるべきところを、扱いの簡単な板金を使って納めてしまうのです。スペースが狭いのですから、方法論としては間違いではありません。ただし、板金の寿命はそんなに長くはなく、もったとしてもせいぜい10年です。風雨にさらされるうちにサビてしまい、どんどん傷んでしまいます。すると、雨漏りにつながることもあります。東京の建物は正面から見るととてもきれいに見えますが、裏から見ると、納まりの難しいところには、必ずといっていいほど板金が使われています。土地の狭さは、このように建物の質にも影響してくるのです。長く住める家を建てるなら、そこまで踏まえて土地を選ぶ必要があるということです。とはいえ、大工が作った納まりのいい家と、納まりは悪いけれどデザイン性の高い家があった場合、住み手にとっては、必ずしも納まりのいい家・いい家にはなりません。たとえば、丈夫な家を建てるために、建てる側としてはどうしても家の真ん中に柱を1本入れたいとします。しかし住み手が、柱があると邪魔だから入れないでほしいという場合もあります。どちらがいいかは一概にはいえません。ただ、家を買う側は、オシャレだけど建築上は問題があることを承知しておかなければなりません。納まりのよさは一般の方ではわからない場合が多いので、気になる場合は住宅会社によく話を聞いたほうがいいでしょう。

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