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米国型の仕事観、日本的人生観

2016年12月2日「金曜日」更新の日記

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農業の収穫を見ても解るように、トマトにはトマトに適した土があり、スイカにはスイカに適した土がある。最近は第二種交配で種が良ければ作物は育つが、それでも適した土に植えた方がよく獲れる。同様に仕事のやり方にも三種類が目立つ。一つは日本的経営、二つ目は米国型、三つ目はEU型である。ここでは、日本型と米国型を比較して考えてみたい。というのは、優秀で伝統ある日本式の土壌に、米国式の流儀が無造作に導入され、日本が良くなるどころか混乱し、いわば米国型が毒となって、日本人が薬の効かない発熱をもよおし、不治の病になりそうで、良識のある人はやきもきしている。宗教面でしかり、教育面でしかり、若者の軽い欲求心、離婚の急増、なげやりな仕事感等々、米国型の悪影響が随所に出てきている。まず、最大の欠点は競争に勝つ原理。日常の楽しさや生活の穏やかさを排してもライバルと死闘を演じ、結果は勝っても傷つき、負ければ終りである。良い例を一つ。某会社。15年頑張ろう、そしたら、会社は大きくなり、社の施設を作り、社員が恩恵にあずかれるようにします、と社長が公言して、優秀な人材を多く集め、安い給料でほとんど休みもなく猛烈に働く。そして、13年目に経営はつまづき、苦労は水の泡、努力も無駄。次に全国制覇。壮大なロマンを掲げても、スポーツの世界なら全員で喜びも分かち合えるが、経営では目的を達成しても、経営者側の一人得に終わる。社員には何の恩恵もない。要するに一部の人の儲けのために、多くの人が協力するだけ。構図は見えすいている。その挙句、M&Aで会社を高く売られたら、何のための愛社精神なのか。もちろん、私自身仕事人間であり、多少は家庭を犠牲にし、自分を捨てて努力してきた夕イプ。少しは仕事に熱中し、お金をつかむ大事さも解っている。だが、他人のために躍らされて、何の見返りも得られない人生は、ご免こうむる。神社仏閣を見ても解るように、日本人は静かにゆっくり暮らす、穏やかな人種なのである。人間らしい種属といえる。ハッピーばかり連発する、バカげた人種とは違う。今や、儲けること、競走すること、宣伝すること、多額の報酬を要求する、経済第一主義の時代。だが、そこに根づく人間性の欠如や破綻を見逃してはならない。世界一になるなど不要であり、成果だけを追いかける経営者など、一種の妄想家といえよう。金と欲望に惑わされる文化など、くそ喰らえで、日本人もそろそろ文化を守る理論を構築する時期に来ているのではないだろうか。

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