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転売者の移転登記請求

2017年3月17日「金曜日」更新の日記

2017-03-17の日記のIMAGE
通常ならば、BがAから登記を取得して、それをCに移転することになります。しかし、Bはすでに所有者ではありません。そのような登記請求が可能でしょうか。判例は、本事例のBにあたる者からAにあたる者に対する移転登記請求について、登記請求権が債権であれば時効で消滅するはずであるとするAの主張について、「売買二因ル所有権移転ノ登記(売主力買主ヲシテ所有権ノ取得ヲ完全ナラシムルカ為メ缺クヘカラサル義務ニシテ売ロニ因ル所有権移転ノ小実二伴ヒ必ス存セサルヘカラサルモノナルヲ以テ売買二囚ル所有権移転ノ登記請求権「独立シテ消滅時効ニカカルヘキ性質ノモノニアラス」とし、物権的請求権だとするならば既に権利を讓渡して失っているのではないかとの諭に対しては、「売買二因ル所有権移転ノ登記請求権(売買二因ル所有権移転ノ事実二伴ヒ必ス存セサルヘカラサル義務ナレ(買主(縦令不動産ヲ転売シテ其所有権ヲ喪失シタリトスルモ先ツ自己ノ所有権ノ取得ノ登記ヲ為シテ其取得ヲ完全ナラシメ然ル後転得者二対シテ転売二因ル所有権移転登記ノ義務ヲ尽スヘキモノニシテ転売二因り自己ノ登記請求権ヲ失フモノニアラス」としています(大判大五・四・一、民録ニニー六七四)。つまり、Bには現在でもAに対する移転登記請求権があることになります。したがって、BがAから登記を取得してCに移転すればよいのですが、Bがそれを行おうとしないときはどうすべきかが問題です。Cが自ら積極的に動く方法が問われるわけです。<中間省略登記の請求>売買によって物の所有権を取得した者は、譲渡人に対し所有権に基づきその物の引波しを請求することができるとする判例があります(大判昭二・三・二二、判評一六-四一一)。これは、売買契約の当事者について述べていますが、対抗問題の当事者ではないかぎり第三者に対しても、登記なくして権利主張できるはずです。つまり、Cは自己に所有権のあることをAに対して主張しうるのであれば、その所有権に基づいてAに対して直接自己に登記を移転するように請求することが考えられます。もし、AがBからいまだ代金を受領していないのであれば、登記を移転することによって、Bに履行を強制する手段を失うことになります。その場合には、Aは留置権(民法二九五条)によって登記の移転を拒否できます。しかし、そのような不利益がないのであれば、AはCの請求に応じて移転登記をすることもありえます。そのとき、BがCから代金を受領していないとすると、今度はBが不利益な立場に立つことになります。そこで、このような不利益を考えて、判例は、CがAに対してBをとばして直接に登記を移転することを請求する場合(登記の中間省略手続請求)には、A及びBの同意がなくては認容できない、としています(最判昭四〇・九・二『民集一九-六-一五六〇』。

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