管理人はだれ！？

2017年6月13日「火曜日」更新の日記

　また、親のこととなると、どうしてもまだまだ元気とお互いに思い込んでいて、手遅れ、というケースがあるのも事実です。次のような事例に接すると、もう少し早く手を打っていれば、と思わずにいられません。 「近くに呼び寄せたのに、気づかぬうちに母親が衰弱」 　76歳になるお毋さまの件で、40代後半のＭさんが相談に見えたときはまだ事態は余裕があるように見えました。Ｍさんの両親は長年、関西で暮らしてきましたが、お父さまが他界し、一人暮らしになったお母さまをＭさんたち２人の息子が住む東京に呼び寄せて、Ｍさんの近くのマンションに住んでもらっていました。 　しかし、近くで暮らすといっても、息子たち自身は仕事で忙しく、日頃ほとんど交流もありません。また、嫁や孫ともお正月に会う程度でした。近くに引っ越してきたメリットはとくにはなかったのです。 　そのマンション暮らしも５年になったころ、お母さまが自宅で転倒して入院し、退院するときに主治医から「もう一人暮らしは無理だから、有料老人ホームに入居するように」と言い渡されたのです。しかし、２人の息子は腑に落ちませんでした。「おふくろは自分の足で歩ける。なぜ、老人ホームなんかにいれる必要があるのか」と。 　しかし、日曜日ごとにお母さまの住むマンションに様子を見にいくと、お毋さまはいつも横になっていて寝てばかりいます。 　そこで、経営がしっかりしているホームを紹介して体験入居もしていただきましたが、お母さま本人も息子さんたちもなかなか入居の決意がつきません。 　こうして、マンションでの一人暮らしを続けるうちに、寝てばかりいる身体には「床ずれ」ができ、とうとう衰弱して入院することになってしまいました。衰弱しきったお毋さまは口から食べ物を食べる力がなくなり、胃に直接栄養を入れる、「胃ろう」の設置という事態になりました。こうなると、特別な介護が必要になりますし、食事を囗で味わう楽しみもなくなり、生活の質は格段に下がります。 　結局、相談から約半年経って、以前ご紹介したところとは別のホームに入居しました。「胃ろう」ですから、食事のたびに胃に「食料」を流し込むだけ。天井を向いて寝たきり。相談に来たときに、早く決断してホームに入居していれば、「床ずれ」にもならず、「胃ろう」にもならないで、ホームで行き届いたお世話を受けながら、お友達もできて、はりあいもでき、きっと元気でいたことと悔まれます。

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