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もはや「土地神話の復活はありえない」

2018年2月1日「木曜日」更新の日記

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 バブル経済の崩壊とともに、「地価は上がり続ける」という土地神話も10年以上も前に完全に崩壊しました。  そもそも、土地神話は、「人口(需要)は増えるが、土地は増えない」という前提条件があったからこそ成り立つものでした。 ところが、バブル崩壊直後の92年以降、有効活用できる土地は実は増えていたのです。土地神話の崩壊と、その後の地価の長期低落にはいろいろな理由があったはずですが、活用する土地が増えて需給関係が悪化したことも大きな要因だったのです。  どのようにして活用できる土地が増えたのかというと、まず92年の生産緑地法の改正によって、大都市近郊を中心に農地が宅地に転用されました。さらに、90年代後半以降、企業のリストラが進み、生産工場の海外移転、金融機関等の本支店の整理売却、社宅あるいは大規模なグラウンドをはじめとした福利厚生施設の処分など、企業が大量に土地を放出しました。  また、借入金の返済原資にするため、遊休地を売却したり、本社ビルを売却する企業も相次ぎました。  こうした土地に加えて、JRの遊休地でも再開発が進んだ結果、大都市圏のいたるところで巨大なオフィスビルやマンションが建設されました。  さらに、2005年度から減損会計(簿価よりも時価が安くなるとその差を損失計上しなければならないという会計制度)が導入されたことを受け、収益を生み出さない土地を放出する動きが広がりました。  郵政公社は公社化・民営化を機に、土地を取得する側から処分する側に回りました。06年11~12月だけで京都、北海道、青森、茨城、石川、滋賀、広島、福岡など全国各地で貯金事務センターや社宅の処分に踏み切っています。  同様に、旧日本道路公団の資産の処分も進んでいます。東日本高速道路株式会社では、旧日本道路公団時代に処分手続きに移行した売却可能な約50ヵ所の不動産に、新たに不要と判断した社宅を加えた約90ヵ所の不動産の処分を06年度に行なっています。  このほか、社会保険庁も保有不動産の売却を進めています。  企業業績の回復などを背景に、土地を取得する動きも活発化していますが、企業の人員削減やIT化の流れを考えると、オフィス需要がいつまでも続くとは思えません。  加えて、増えるという前提だった人口はすでに減少し始めています。  このように、需要。供給の両面で土地神話の前提条件が崩壊しているのですから、土地神話の復活はありえないと今更ながらいわざるをえません。

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