SUMAIRINA

トップ > 平成30年2月> 2日

金融庁・日銀が地価の高騰を警戒  

2018年2月2日「金曜日」更新の日記

2018-02-02の日記のIMAGE
 東京・銀座で坪1億円以上の土地の売買事例が出るなど、一部の地域ではバブルの様相を呈しています。  大都市圏の一部の地域で地価が高騰しているのは、不動産投資信託(REIT)や不動産私募ファンドなどが積極的に大型物件を高値で落札しているからです。地方の中核都市でも、地価が上昇しているのは総じてREITや不動産ファンドなどの不動産投資マネーが流入している地域です。  REITと機関投資家向け不動産私募ファンドを合わせた不動産投資マネーの市場規模はすでに累計20兆円を超え、金融庁などが過熱気味と警戒する土地取引の主役に躍り出ています。  05年度版土地白書によると、REITや不動産私募ファンドを通じて05年度に証券化した不動産の資産額は前年度比3割増の6兆9000億円に達し、過去最高を更新しました。こうした不動産投資マネーによる取得競争が激化していることが、一部地域の地価の高騰を招いているといっても過言ではありません。  都心部などでは、好立地で、再開発に適した優良物件の供給が少なくなってきているため、取得価格が高くなってもライバルに負けるわけにはいかないという不動産投資マネー側の引くに引けない事情もあるようです。  一方で、「もう東京には一定の利回りを確保できる物件がない」という理由で、東京から地方都市へ資金を移動させる動きも活発になっています。  REITや不動産ファンドは金融機関の融資と機関投資家の出資を得て、不動産に投資しています。つまり、金融機関や機関投資家の運用資金が大量に不動産市場に流れ込んでいるということです。  こうした事態を受け、06年に入り金融庁は銀行に対して、融資の残高や担保掛け目の水準など不動産融資のリスク管理体制に関するヒアリングを行なっています。リスク管理の見通しが甘いと収益に影響する恐れがあり、いつか来た道のように、また不良債権になりかねないからです。  日銀も地価動向を注視する姿勢を打ち出しています。日銀にはバブル期に地価高騰への対応が遅れ、バブル崩壊後の長期低迷を招いたという苦い経験がありますので、資産バブルにつながるような動きには早めに対処する方針のようです。  再び総量規制を実施するとは考えにくいものの、金融庁と日銀の無言の圧力だけでもファンド等へ融資をしている金融機関は相当なプレッシャーになるはずです。  政府・日銀の不動産市場に対する姿勢をみると、都心部の地価も早晩人為的に落ち着くのかもしれません(?)。

このページの先頭へ