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建物は一定周期で大規模修繕が必要

2018年2月9日「金曜日」更新の日記

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 賃貸不動産の収益の最大化をはかるには、建物の資産価値を維持することも必要です。特に、空室の目立つ地域では、借り手の目を引くためにも老朽化した建物をそのままにしておくわけにはいかないはずです。  建物の外観のリニューアル(塗装、防水など)、給排水・電気など設備の交換やリニューアルなど、資産保全のためにやるべきことはたくさんあります。  人口の減少と、マンション・アパート・オフィスの大量供給によって需給バランスが今後さらに悪化することが予想されるだけに、収益の最大化をはかるためにも、建物の資産価値の保全がこれまで以上に重要になってきます。  一般に、分譲マンションでは、12~13年周期で大規模修繕が発生しています。そして、各区分所有者は大規模修繕に備えてお金を積み立てています。  賃貸建物でも当然、一定周期で大規模修繕を行なうことになりますが、修繕費は借主に求めるわけにはいきませんので、オーナー負担となります。賃貸オーナーも、修繕積立金に該当する貯蓄が必要になってくるということです。(この積立を積立型の投資信託で行なうのも賢い方法かもしれません)  平成5年の建設省(当時)の通達の修繕周期の目安によると、外壁は9~15年で修繕(補修・塗装・取替)時期を迎えます。また、天井の修繕(塗り替え)時期は10~14年、タイル張りの床の取り替え時期は19~21年です。  建物本体だけでなく、設備に関しても一定の周期で修理・交換が必要になります。  主要設備といえる電気系統、水回りなどの配管の耐久性は建物の寿命ほど長くありません。最近、事故報告の相次いでいるエレベーターに関しても、メンテナンスをいくらしていても永久に稼働するわけではありません。  また、光通信などのライフラインのインフラが進化していくと、新しい設備への変更を余儀なくされることもあるでしょう。  先の通達では、大まかな目安ですが電気設備の主開閉器は16~21年、照明器具(屋外)は10~14年、同じく屋内は15~18年、テレビ受信アンテナは9~11年で取り替え時期を迎えることになっています。  さらに、各戸給水管は12~17年、屋外給水管・屋内給水管は12~20年、屋内汚水管は16~24年、屋内ガス管は30年、屋外ガス管は19~21年で取り替えるのが望ましいようです。  このほか、エレベーターは30年、警報設備は24年、集合郵便受けは17~23年というのが目安になります。  当然、すべての項目で修繕費用が発生します。こうした修繕費用もあらかじめ支出として見積もらないと、不動産賃貸経営の正確な収益は計算できません。こうした長期の維持管理費という将来の支出まできちんと計画・管理しておかないと、健全な不動産賃貸経営はできないのです。  国の通達は一応の目安ですから、実際に修繕が必要になる時期は当然、物件によって異なります。  自分の所有している物件の修繕時期を知るためには、まず現状認識のために建物診断を行なうことをおすすめします。そして、その診断結果にそって中・長期の修繕計画をたててください。  修繕費用は、賃貸経営を続けるための必要経費ですから、収益最大化のための経費削減の対象ではありません。なお、法的点検を義務づけられている設備(自動火災報知機、エレベーターなど)の点検に必要な費用もあります。 とはいえ、賃貸経営も会社経営と同じですから、あくまでも経済的合理性の範囲で支出を考えることになります。

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