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建物を保有するリスク その1消防法

2018年2月15日「木曜日」更新の日記

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建物を保有するリスク その1消防法  建築基準法以外にも、建物は様々な法規制の対象となっています。こうした法規制が、株式など他の金融商品にはない不動産固有のリスクとして、賃貸オーナーに重くのしかかってくる場合があります。  まず、最初に取り上げるのが消防法です。消防法のリスクに関連する大事件として記憶に新しいのが、2001年9月に死者44人を出した新宿・歌舞伎町の雑居ビル火災です。  この雑居ビルは、火災が起こる以前から消防署の査察で消防法違反を指摘されていましたが、ほとんど改善されていませんでした。  消防法では、2方向への避難口の確保が義務付けられていますが、この雑居ビルは室内階段が1箇所で狭かったうえ、3階から4階にかけての階段が荷物置き場のような状態になっていたため、大惨事を招いたといわれています。非常階段の通行不能は、避難経路だけでなく、消防活動の妨げにもなりました。  また、3~4階の階段の防火扉が、置かれた荷物が障害となり正常に作動しなかったため、火と煙の拡散が早かったことも、大惨事につながったようです。  避難場所に障害物があったことだけでなく、避難機器の未設置、火災報知器の不備、消防設備の未点検、防火管理者の未選任、消防計画の未作成、消火訓練の未実施などもこの雑居ビルの消防法違反項目にあげられていました。  つまり、避難経路の確保だけでなく、避難機器の設置、火災報知器や消防設備の点検・整備、防火管理者の選任、消防計画を作成し消火訓練を実施することも賃貸オーナーの責任になるのです。  火災から約2年後には、ビルのオーナーおよびテナント関係者が消防法違反および業務上過失致死の疑いで逮捕されました。  このように、消防法を遵守していないと、賃貸オーナーも犯罪者になる可能性があるわけです。  こうした事態に直面しないためにも、消防器具の点検。整備だけでなく、非常階段に物が置かれていないかどうかなど普段から建物全体のチェックをこころかけておくべきでしょう。エレベーターがあると、非常階段は荷物置き場になりがちですが、入居者に障害物の撤去をしてもらうこともオーナーの仕事です。  実際、最近では消防署の査察が一段と厳しくなっていて、違反していると是正命令が出て、直ちに改善しなければならなくなっています。  消防法は1948年に制定されました。その後、建築基準法同様、時代・社会の変化に合わせて新たな規定が盛り込まれています。  ただし、建築基準法とは異なり、最新の規定が既存の建物にも適用されるので注意が必要です。  建築基準法では、古い基準で建てられた建物について、既存不適格になっているからすぐに直しなさいという法的な規制はありません。  これに対して、消防法の場合には、法改正などに基づく新たな規定がすべての建物に適用され、基準を満たしていないと改善命令が出されます。法律の適用範囲が建築基準法とは大きく異なるわけです。 特に、消防設備の維持管理は、オーナーの責任になります。  賃貸オーナーの方は、消防法に関連するリスクに対処するため、次の各項目を再度チェックしてみてください。 12方向避難が確保されているか 2エレベーターホール、階段、通路に避難の支障となる物が置かれていないか 3火災報知器、誘導灯、感知器が正常に作動するか 4防火管理者を表示しているか 5放火されるようなものを置いていないか 6防火扉・防火シヤッターが作動するか

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