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知らなかったではすまされないオーナー責任

2018年2月22日「木曜日」更新の日記

2018-02-22の日記のIMAGE
 2006年に宅地建物取引業法施行規則が改正され、賃貸借契約時において耐震についての重要事項説明が宅地建物取引業者に義務付けられました。具体的には、1981年5月31日以前に建築された建物に対して所定の耐震診断を行なった場合には、その内容を重要事項の説明として義務付けたものです。  同時に、建物についてアスベスト使用の有無の調査結果が記録されているときは、その内容が重要事項の説明として義務付けられました。  耐震性もアスベストも調査記録があれば、賃借人に説明しなけれぱならないのです。したがって、何か問題がある場合には、借りようとされていた方が契約を躊躇する可能性もありますが、逆にアスベストの使用もなく耐震性にも問題がなければ、安心物件としてアピールすることができます。  記録がないと説明する必要はないということになりますが、たとえ説明責任がなくても、地震による建物の倒壊でオーナー責任が問われる場合があります。  阪神・淡路大震災で、神戸市内のとある賃貸マンションの1階がつぶれ、入居者4人が死亡した事故では、遺族がオーナーに総額3億円の損害賠償を請求し、神戸地方裁判所の判決では、約1億3000万円の支払い命令が出されました。  判決理由は、建物が法令で定める安全性の基準を満たしていなかった(建物に瑕疵があった)とのことでした。  建物の瑕疵と倒壊の因果関係については、震度七という強い揺れでしたので、もし瑕疵がなくても倒壊したものと思われますが、基準の安全性を備えていれぱ1階部分が完全に押しつぶされることもなかったのではないか、即ち、賃借人の死傷は地震による不可抗力とはいえないとしました。

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