管理人はだれ！？

2018年3月9日「金曜日」更新の日記

　住居は、個人または家族という単位で住むプライベートなものである。 しかし、子どもが育ち、老人が憩い、主婦が働く、その私的な住居が集まると、それは社会的な存在となる。 　アメリカの連邦政府住宅都市開発省が発行している『住宅政策』という本の冒頭に次のような言葉がある。 　「社会は市民から成っている。よき市民がいなければ、よい社会はできない。よき市民を育てるのは家庭である。家庭の基礎は住居である。連邦政府が住宅政策に力を入れねばならないのはこの理由からである」 　簡単な言葉だけれど、まさにこのとおりであろう。 しかし、日本ではこのことがなかなか認識されないのである。 　日本は先進諸国の中では、最も住宅事情が遅れている。ヨーロッパの国から、日本の住居は「ウサギ小屋」だと言われても、政府は住宅政策を変えようとはしないし、土地投機を禁止しようともしない。 むしろ反対に国民の財産である国公有地を売り払って、何の痛痒も感じていない。 住居に対する認識が浅いのである。 政府ばかりではない。 ちゃちなミニ開発住宅やマンションが3000万円も4000万円もするという住宅事情に、やむをえないと甘んじている私たちにも責任の一端はある。 住宅の問題は、自分だけが快適ならよい。 逆に自分だけが我慢すればよいという問題ではない。 それは私的なものでありながら、同時に社会的な存在でもあるからだ。 住宅の問題をそういった社会的な観点からもう一度ながめ直してみたいと思う。最初に、これまでもすこしふれた欧米の住宅に対する考え方や実情をみて、次に日本の住宅政策の問題点にもふれてみたい。

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