きちんとした家に住めないのは人権問題
2018年3月11日「日曜日」更新の日記
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- アメリカはあまりにも広大で、住居に関しては特別によい条件にある。
日本と比較するのは酷かもしれないが、これがイギリスとなると、島国で領土も狭く、かなり国情は似てくる。
ロンドン大学の政治経済学部教授・森嶋通夫さん宅に招かれたことがある。
都心から電車で20分、駅から歩いて2、3分のところにあり。
必ずしも確かな数字ではないが、敷地が約2000平方メートル、建物が約300平方メートルぐらい。
周辺地域は高級住宅街である。
この住宅が4000万~5000万円ぐらいと言っておられた。
もちろん土地も入れてである。
日本でならいくらするだろうか。
森嶋教授のお宅は、むろん水準の高い家と考えてょいが、ここから推定しても1000万円、2000万円でどの程度の家が手に入れられるかがわかるだろう。
私たちは土地と家が高価なものだと思いこんでしまっているが、こんなに高い国は日本以外にはどこにもない。
アメリカでも1500万円出せば、ニューヨーク郊外にプール付きの家が買える。
円高のもとではもっと安いだろう。
日本の土地政策、住宅政策が完全に狂ってしまっているのだ。
ロンドン郊外のありふれた住宅でも、7、8部屋はあり、広い庭も付いている。イギリス人は衣・食・住のうち住を最も重視する。
住居を大事にもする。
人間の成長にとって最も大切なのが住居だと考えているのだ。
森嶋教授も「教育と住宅」が人間にとっていちばん大事だと言っておられる。
ロンドン大学のある教授が私にこう言った。
世界で最も幸福なのは日本女性と結婚し、イギリスの住宅に住み、アメリカの賃金をもらい、中華料理を食べる男性だという。
逆に不幸なのはアメリカ女性と結婚し、日本の住宅に住み、中国の賃金をもらい、イギリス料理を食べる男性だそうだ。
いささか男の身勝手な言い分で、世の女性のひんしゅくを買いそうなたとえ話だが、女性のこと以外、とりわけ住宅に関しては確実に当たっているといえよう。
もちろんイギリスにも住む家のない人や、住宅の問題でいろいろ頭を悩ましている人はいる。
そういう人たちのために、住宅相談センターがある。
ここではあらゆる住宅の相談にのってくれる。
家の改善費用の援助手続き、公営住宅へ入居する手続きをしてくれたりする。
人権センターという機関もあり、そこには弁護士がいて住宅問題についてのトラブルでも解決に力を貸してくれる。
ちゃんとした家に住めないことはイギリスでは人権問題なのである。
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