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結露と湿気が家を腐らせる

2018年5月2日「水曜日」更新の日記

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 結露が生じた家のなかには、当然のことながら、湿気がはびこります。  この湿気こそが、現代の家における最大の敵なのです。  木材には湿気を吸ったり、吐いたりする機能があります。しかも断熱性にすぐれているので、本来ならば、湿気の発生しにくい素材です。  しかし、木材にも湿気がとりつくのです。ふつう、木造住宅に使われる木材に含まれる水分は20%以下です。その範囲を越えない限り、木材が湿気をおびてくる心配はないのですが、問題は湿気がそれ以上に達したときです。  木材は、そのなかに含まれる水分が25%以上になると問題が生じてきます。木の表面に、腐朽菌という微生物が繁殖して木の成分を分解するからで、これにより腐れの現象が出てきます。この菌の働きを助けるのは、温度と水分と酸素だといわれます。  温度や酸素については、私たちの操作できる範囲ではありませんから、さておくことにして、問題は水分です。木材は乾いてさえいれば、古都の神社や寺のように、何100年も腐ることなくもつのですから。  それでは、なぜ、現代の家のなかが湿っぽくなってしまったのでしょうか。  その答えを解くキーワードは「風通し」です。  梅雨どきの暮らしを思い浮かべてみてください。家のなかのどこもかしこもジメジメ、ベトベト。不快な毎日です。そこで、生活の知恵として、押し入れに扇風機で風をおくったり、スノコを敷いたりして、すこしでも風を通す工夫がなされます。  風を通すということ。現代の家は、この大切なことを忘れているのです。  昔の家は、とにかく風が通りました。 広い開口部から入ってくる風はもとより、床下からも涼しい風が吹きあげてきました。床下空間は、束石工法といって、人がもぐれるほどの空間がありましたから、風が通ったのです。  風通しは良いけれども耐震性や暖かさのさまたげになるということで、現在ではこの工法は姿を消してしまい、コンクリートで基礎を固める布基礎工法に変わってしまいました。  その結果として、床下に湿気がこもり、土台が腐りやすいということになってしまったのです。  腐った木には、ご存じのようにシロアリが繁殖します。木を喰いつくすシロアリを駆除するには、人間の体に害をあたえる強い薬剤が使われますから、家にも健康にも大変なことになるのです。  また、床下の湿気と同様に、壁の中にも湿気がしのびこみます。近ごろの家の壁のなかにはグラスウールなどの断熱材が埋めこまれていますが、この断熱材にも結露が生じて、壁のなかがビショビショということになりかねません。  この対策については、見えないところの結露や湿気についても、真剣に考えていかなければならないと思います。

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