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天然イ草のすがすがしい香り

2018年5月16日「水曜日」更新の日記

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 私たち日本人の住まいになくてはならないもの、それは畳であるといえるかもしれません。  椅子の代わりに座る、べッドの代わりに寝る、テーブルの代わりにものを置くといった風に多目的な役割を采たす畳は、古代から床に座る生活を営んできた日本人と密接なかかわりを保ってきました。  新しい畳は、青畳とも称され、独特のすがすがしい匂いがただよいます。日本人として生まれて、この匂いが嫌いという人はほとんどいないでしょう。素足にひんやり伝わる感触や、夏の昼下がり、畳に大の字になって昼寝する心地よさは、まさに日本人ならではの醍醐味。長い外国暮らしをしている人のなかには、畳に座る生活を恋し く思う方も少なくないとか。  しかし、ライフスタイルが洋風化した最近では、畳のないお宅も珍しくなくなってしまいました。残念に思います。  畳特有のすがすがしい香りは、天然のイ草によるものです。畳表はイ草を織機で編んでつくられますが、1畳分の畳表をつくるのになんと、5000本ものイ草が必要とされるそうです。  畳表は淡路島産や広島産の特別な泥で染めあげられ、見た目にもさわやかな青畳が誕生するわけですが、いくら青畳が好ましいといっても、あまりに青々したものは避けたほうがよいでしょう。防虫と乾燥効米を高めるため、泥の中に発ガン性のあるマラカイトグリーンという着色・防カビ剤を混ぜ込んでいる場合があるからです。  高級な畳は青々しているものではなく、少し茶色がかった草色をしているのだということを頭に入れておきましょう。  さて、畳表の下には畳床という部分があります。かつては稲ワラが使われていましたが、高気密の現代住宅ではダニが発生しやすいことから、発泡スチロール製が増えてきました。これではせっかく天然のイ草を使った畳でも湿気がこもってしまいますが、代わりに有孔や無孔のボードを使うという有効な方法もあります。さらに、その 下に炭のシートを敷いておけば吸湿性がぐんとアップします。  旧来の畳は、天然イ草の畳表に稲ワラ床と決まっていました。自然素材であるイ草もワラも日本の風土に合い、吸湿性や保温性にすぐれた効果を発揮していたのです。  世界に誇れる床材であり、日本文化の産物ともいえる畳が、カビやダニの温床とみなされ、薬剤づけになってしまったのはじつに嘆かわしいことです。  しかし、最近は健康によい伐がいろいろ開発されてきていますから、じょうずに選択したいものです。

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