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欧米住宅の模倣には無理がある

2018年5月20日「日曜日」更新の日記

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 戦後、日本の住宅は大きく様変わりしました。「衣食住」のうち、とりあえず食べることと着ることが満たされるようになると、当然のことながら、世の中の関心は、  いかに快適に住むかに向かっていったのです。  戦前の大家族主義から核家族へと、家族形態が移っていくにつれて、都市や郊外にモダンな住宅が統々と建てられるようになりました。とくに、高度経済成長期に入ってからは「大衆的住宅大量生産時代」といっても過言でないほどの建築ブームが続き、人々はこぞって念願のマイホームを手に入れたのです。  ゆったりとくつろげるリビングルーム、清潔で機能的なダイニングルーム、個人のプライバシーを尊重したベッドルーム・・・。  それらの家が志向したのは欧米の、とくにアメリカの住宅でした。具体的にいえば、3LDKとか4LDKの家。すなわち、家族空間と個人空間をセッ卜でっくり、個人空間は家族構成にあった数だけ用意する。さらに、来客のための畳の部屋をひとつ、といった定形化したものです。大手ハウスメーカーが推奨する住宅の大半がこのようなものであることは、展示場めぐりを経験されたみなさんなら、とっくにおわかりでしょう。  まるで欧米の映画や小説に登場するような瀟洒な家。座り心地のよいソファーがでんと置かれたリビングルームではホームパーティーだって開けるし、家族の数だけ個室があるからプライバシーもきちっと守られる・・・これが自慢のわが家です。と、いきたいところですが、はたしてそれで本当によかったのでしょうか。  一見合理的につくられていると思われる「定形標準住宅」には、予想もしなかった落とし穴がひそんでいたのです。  ソファーに座る生活になじめない、部屋数を多くとったために、部屋が狭くなってしまったなどの諸問題が生じる中で、もっとも危惧しなければならないのは、家族生活が部屋ごとにばらばらになってしまったために、ふれあいが乏しくなってしまったことです。

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