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老人室にはやさしい配慮を

2018年5月30日「水曜日」更新の日記

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 親と同居している方はたくさんおられると思います。  結婚生活を新しくスタートさせたときからの同居ならば、それなりのライフスタイルが確立されているわけですから、問題が生じる余地はありません。  しかし、親が年とったからとか、ひとりになってしまったからなどの理由で、急に同居することになった場合は、複雑な諸問題につきあたることも多々あるようです。 永い間、別々の生活を送ってくれば、生活様式も価値観も異なるのは当たり前のことです。その中で、お互いに折り合いをつけて生活していかなくてはならない気苦労は、並みたいていのものではないでしょう。  さて、同居生活は、親のためにひと部屋用意することからスタートします。  たいていの場合、静かな離れという概念から、廊下を隔てて、家族空間から離れた場所になっているようです。お互いに干渉しあうわずらわしさを避けたい、という思惑がそのような間取りに結びつくのだと思います。  しかし、おじいちゃん、おばあちゃんも家族の一員なのです。家族がくつろいでお茶を飲んでいるのだったら、仲間に加わりたいでしょうし、かわいい孫の顔も見たいでしょう。同じ家に住みながら、他人行儀な接し方をされると、疎外感はますます募るものです。  「こんなことだったらひとりで暮らしていたほうがよかった」などと思わせてしまうような同居は、たとえ立派な部屋を用意してあげても失敗です。  また、老人室が隔絶されていると、病気になったときが心配です。  お年寄りは、いつなんどき具合が悪くなるかわかりません。夜中にトイレに起きて、倒れてしまったという話もよく耳にしますし、足腰が弱って、立ち居振る舞いに助けがいる、というケースも生じるでしょう。ちょっとしたはずみで転倒してしまう心配もあります。お年寄りには、思いがけないことが突発的におこるものです。  大切なのは老人室を孤立化しないということです。家族の雰囲気が感じられる所に設けてあげるのがいちばんです。家族空間のひとつながりの中に、取り入れる工夫をしてみましよう。  さらに、暖かな心くばりとして、「バリアフリー」にしつらえることも忘れずに。  バリアフリーという言葉が、最近あちこちで聞かれるようになりました。  直訳すれば障害物がないということ。家の中を人が移動するときに、障害になるものを排除しようという、高齢化社会に対応した考え方です。  転倒をはじめとする家庭内事故の大半は、床の段差が原因といわれますから、部屋の出入りがスムーズにできるように、床の高低をなくすことが大切です。 こうしておけば、もしも車椅子の世話にならなければならない状況になったとしても安心です。  わが国では確実に高齢化が進んでいます。  長寿国・日本では高齢のお年寄りが、どういう形にせよ、子どもの家族と同居するというケースが今後もますます増えてくるでしょう。できることなら新築の際に、階段やトイレ、風呂に手すりをつけるなどのやさしい心配りをしていただきたいと思います。

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