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不動産ビジネスにおける金融面の変化

2018年9月21日「金曜日」更新の日記

2018-09-21の日記のIMAGE
第4の変化は、不動産ビジネスに対する金融面の変化です。
銀行を含めた金融機関からの資金調達だけに頼るのではなく、その時々の経営環境に応じた最適な資金調達をするために、新たな資金調達ルートが求められているということです。 1990年代前半のバブル崩壊以降、銀行は不良債権処理に苦しんできました。 一方で、銀行にはBIS規制*(国際決済銀行:Bank for International Set-tlementによる規制)があり、自己資本比率を8%以上に維持することが求められています。
ここでいう自己資本比率とは、銀行の自己資本(資本金、資本準備金、剰余金、株式や不動産の評価益)をリスク資産(資産の種類に応じたリスク割合勘案後の資産残高、企業向けの貸出を含む)で割ったものです。 極めて単純化していうならば、銀行が不良債権処理を進めて損失を計上すると自己資本が減りますので、自己資本比率を維持するためには、リスク資産を減らすか、少なくともあまり増やさないという行動に出ざるを得なくなったのです。 実際、銀行の貸出残高(融資の総額)はバブル崩壊後に一時増えたものの、* BIS (Bank for International Settlement=国際決済銀行)は、世界の中央銀行を束ねる国際機関であり、銀行活動の安定性を確保するため、国際的に活動する金融機関に対し各種規制を策定している。 現行の規制は、国際的に活動する金融機関の自己資本比率を8%以上とするよう求めている。 総貸出残商、不動産業向け貸出残高ともに、5年以上にわたって減少を続けることになりました。 現在では、景気が回復したことや銀行の不良債権処理もほぽ終了したことによって、貸出残高は増加に転じています。 しかし、今後ともBIS規制は続きますし、銀行も貸出リスクに敏感になっていますので、銀行が不良債権問題から脱しても、急速に貸出残高を増やすとは考えにくいところです*。 また、企業が銀行からの借入といった形態で資金調達をすることが、その企業にとって常に有利な資金調達になるとは限りません。 金融環境に応じて有利な資金調達手段も変化するので、多様な資金調達ルートを確保しておくことが望ましいでしょう。

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