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居住者の生活を満足させる設計に

2018年9月28日「金曜日」更新の日記

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この欠陥住宅の定義によるならば、欠陥防止の第一の対策は「居住者の生活機能を満足させる住宅」をつくることであり、それを設計図書として表現することと言えます。そこで居住者の特定の生活機能を正しく把握し、それを住宅という形に移し替えていく設計者の力量が問われるのです。そして設計者の力量は、次のような流れのなかで試されます。まず、居住者の家族全員と対話するなかで生活の実態を明らかにし、その改善点とともに今後の生活のあり方とイメージを探りながら、最終的なイメージを実現課題として居住者と共有します。続いて、それらを満足させる生活空間について話し合い、住宅の機能と生活のイメージを一致させながら、それを実現する住居の形態・デザインを煮詰めていきます。このようなプロセスを通して、住宅の機能・形態・仕様を設計図書としてまとめます。この応答と作業のフィードバックをくり返しながら、居住者と設計者がお互いに学び合うという状況が生まれます。設計者は求められる住居の姿を生活者の目線に合わせてくみ取り、居住者は設計内容を理解し、場合によってはそれを批判さえできるような半専門家的とも言える知識を身につけます。設計者が自分でした設計に対して、建て主がそれを批判できるようになるまで助言をし、半専門家として建て主を鍛えるという逆説的な行為は、実は設計者に求められる大切な仕事です。建て主が設計を理解し、それが生活の計画とどう関わるかを認識することができるようになれば、居住者は生活者としての主体性のもと、設計を客観的にとらえることができるようになり、これから自分で住む住宅がいかなるものか、どうあるべきかを正しく評価できるようになります。こうした過程を行きつ戻りつするなかで、設計内容が適切で「居住者の生活機能を満足させる住宅」であることが居住者・設計者の双方に確認されれば、設計段階が終わります。

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