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新しい設備だけが質の向上ではない

2018年10月3日「水曜日」更新の日記

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日進月歩といえば、さしさわりがなく格好いいのだが、新しいモノに何にでも食らいつくのは、ダボハゼのすることである。良く言えば進歩派、悪く言えば定見の無さとなる。今日の住宅建築や賃貸の部屋は、この類に属する。新築を見て新しい発見をして感心していると、次の建物は吏に新しい設備を身に付けている。それ故3ヵ月も見ないでいると、新しい備品を知らないので、時代に乗り遅れてしまったのかな、と錯覚しそうである。時代を先取りして、良益な設備を取り入れてゆくのは、すばらしいことだと思う。それによって入る人、使う人が喜び、便利になるのなら、それにこしたことはない。よりよい方向に向かって進んでゆくのは、有益であり喜ばしい限りである。昔から市場は競争で切磋琢磨し、社会に貢献してきた。それは人間の知恵であると共に、持続の秘訣でもある。しかし、阿から何まですべてを改善し、取り揃えることが、果して必要であろうか。幸福といえるのだろうか。襲を返えせば、無駄がなくて効率的といえるだろうか。便利さや有益さも、ある一定の分岐点を越えれば、かえって有害となり人間を退廃させることにならないだろうか。私達は、何かどこまで必要かを常に考え、人間の頭脳と英知を大切にしなければならない。人間らしさとは社会的動物を意味し、少しは労力を行い苦労に耐えることを覚え、他人の気持を思いやる優しさを覚えねばならない。他人と協調することも覚え、集団に参加し、自分の主張をはっきりと示すようでないといけない。「浴室内にテレビがあるけどさあ、1年もしたら見なくなってしまったよ」「オール電化だから安心だけどさ、料理感が無いねえ。おモチを焼いても軽いし、サンマを焼いても、味がうすいのは何故かね?」「オートロックがいたずらされたって?お蔭で昨日は、ドアが開かなくてさ、20分もエントランスで待たされたよ。」「機密性が高いから、ガスコンロの火が消えるだって?そんなの危いじやないか」「最近ちょっと身体がだるいですよ。室内を見たら、合成材とコンクリートだもの。身体の新陳代謝が、良くないのかなあ」新しいものがすべて良薬とは、限らない。多少の不便は我慢しても、頭や身体を健全に保つ方が、ずっと立派に決まっている。新設備に甘える事のないよう、知恵を持ちたいもの。質の向上にはもう一つの側面があって、不便なもの、設備の古いものを新しく直す、という手もある。いわゆる欠点を正すのも大事なのである。

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