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必要は発明の母、借主はもっと要求しよう

2018年10月6日「土曜日」更新の日記

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古い部屋、つまり貸室は、女性の化粧に例えられる。なぜかというと、男は年をとってもいっこうに平気で、シワが出ようがシミが増えようが、たいして問題ではない。それどころか、大木と同じで年輪を感じさせ、渋みが出て、かえって好感を持たれる。ところが、女性はそうはいかない。シワくちやで浅黒い顔でカラカラ声でも出そうものなら、そっぽを向かれる。いくら二コニコ笑いでおあいその限りを言っても、見向きもされない。同類のよしみで、家や部屋も年増の女性を引合いに出して、比較される。別にご婦人を侮辱しているのではなく、解り易いからである。例えば、古い部屋を改装しようとする時。「そんな古い物件、改装したところで、無理だね。いくらクロスや床を張り替えたところで、古いものは古いさ。中年女の厚化粧と同じで、土台がだめさね。ペタペタ顔を塗ったり、シワを隠したりしても、元は変わらないやね。眼の上にアイシャドウを濃く塗ったら、タヌキみたいだし、眼下まで塗ったら、アカンベエだね。物件も同じで、壁や床を新製品でやり直しても、何か不自然だし、ピンとこないよ」「それでも、新しくなった分、いいじゃないのか。きれいになった方が、お客様は喜ぶのと違うかね」「なに、古いものは古いものさ。そうだろ。変わらないでどうしようもないのが、あるだろ。例えば、浴室。やっぱりバランス釜じゃねえ。それに、洗面所がないだろ。畳は虫が湧くと嫌われるし、コンセントも少いだろ、台所に湯も出ないし、感覚的に違うな。」「じゃ、空室はどうやれば決まるのかね?」「やっぱり、住む人の希望を聞いて直すことだね。謙虚に住む側の心になることだよ」それにはまず入居者の嫌うものを除去するのが先だが、ここでは入居者の願望するものは何か、考えてみよう。よく部屋を案内し、内見した場合に、気には入ってもらえたが、いまいち決めてもらえない、というときがある。それは何故かというと、入居者はもっと設備を充実してもらいたいとか、新しい設備、機能を付けてもらいたいと迷っているのである。だから、それを満たしてやればよい。貸す側も、要求するものを聞いてやればよいのである。――エアコンが欲しいとか、テレビインターホンが欲しいとか、台所に給湯が欲しいとか、床をCF(クッション)にして欲しいとか。時代は変わった。借りる側も、これが欲しい、あれができないかと、要求してよい時代になったのである。仲介業者もオーナーも、素直に聞くことから始めればよい。借主が要求していくことこそ、時代を変えるのである。

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