SUMAIRINA

トップ > 平成30年10月> 20日

マイホーム選びで後悔する理由

2018年10月20日「土曜日」更新の日記

2018-10-20の日記のIMAGE
初めて買うマイホームは、多くの人にとって一生に一度の大きな買い物です。誰もが失敗したくないと思うでしょう。しかし、実際には、10年も経たないうちに後悔してしまう人も少なくありません。国土交通省は、5年ごとに、住まいの満足度に関する調査「住生活総合調査」を行っていますが、平成20年の調査で、住宅に対して不満を持っている人は、約32%でした。平成15年の調査では、なんと約42%でしたから、住まいに不満を持つ人は減ってきているとはいえ、かなり多いといえるでしょう。数千万円をかけて、いよいよという気持ちで決断し、やっと購入したマイホーム。30年ものローンを背負っていながら後悔してしまうのは不幸です。住宅選びの書籍やWebサイトはたくさんあり、失敗の理由もさまざまに考察されていますが、大きな理由はマイホーム購入前と後の「変化」によるものです。「ライフスタイルの変化≒家族の変化」「周辺環境の変化」などを購入前に予測できず、後になって家選びの失敗に気がついてしまうのです。ライフスタイルの変化は、たとえば、家を購入する前と後の空間の使い方に表れます。一般的には、初めて家を買う「第一取得者」は、それまではアパートや社宅に住んでいます。アパートや社宅は、多くの場合50平方メートルに満たない広さです。一方、家を買うとなれば、ぐっと広い空間に移ることになります。たとえば埼玉県の分譲建売住宅では、延床面積は平均して80~100平方メートル程度はあるでしょう。住み始めは、単純に家の広さが倍近くになるので、広々とした家に引っ越せただけで誰もが満足します。ところが、そのサイズに合わせて生活環境を整えていくうちに、だんだんと不満が出てきてしまうのです。たとえば、購入時は広く感じたはずのリビング・ダイニングも、せっかく広くなるからとソファーセットを置いただけで、途端に狹さを感じるようになります。これは家具の選択というよhソは、将来のライフスタイルを考慮していない住宅の選択の問題なのです。部屋の広さを積極的にPRしている住宅では、押し入れやクローゼットなどの収納スペースを省いて空間を広く見せていることがよくありますが、その場合は、購入直後と住んでからの満足度により大きなギャップが生まれます。収納にしまうべきものを床に置いたり、ダンスや棚を置いたりすると、想像以上に部屋は狭くなってしまいます。そして、こんなはずではなかった。と後悔してしまうのです。当たり前のように感じることかもしれませんが、なぜそのようなマイホーム選びの失敗をしてしまう人がいるのかは、後ほど詳しく解説します。2つ目が家族の変化です。住まいの第一取得者の場合、子どもがまだ幼い、あるいはこれから生まれるという人が多いものです。子どもが小さいうちは、それほど広い空間を必要としないため、やはり引っ越したばかりの家はとても広く感じられます。ところが、家を買ったときは6歳だった子どもも、10年経てば16歳です。当たり前のことですが、広さの変わらないリビングに10代の子が暮らすようになると、それだけで思いのほか窮屈に感じるようになるものです。この子どもの成長と空間の感覚は、住宅購入時に想像することが難しいようです。子育てのことをあらかじめ考えれば、間取りや設計で意識すべきポイントも変わります。また、子どもだけでなく自分も年を取ります。若い間はまだ何も問題を感じないことが、年を重ねると不満の種になります。断熱性能や、あるいはドアの付け方ひとつ、生活動線ひとつとっても、老後も快適に使える住宅を見極めるのは簡単ではありません。3つ目は周辺環境の変化です。これまでは静かな環境だったのに、急に近隣に商業施設ができたり、好ましくない人が引っ越してきたりして、住みにくくなった、といったパターンです。大きな建物が近くに建って、自宅の日当たりが悪くなることはよくありますし、近くに深夜まで騒がしいような店ができて子どもの通学路が危険になったりすることも少なくありません。将来どのように周辺環境が変化するか、一生安全に、安心して住めるかは、家を買う場所選びに大きく左右されるのです。せっかくのマイホームも、これらの「変化」を考慮しきれずに選び方で間違えてしまうと、不満足を感じたり、後悔したりしてしまいます。わかつているつもりでも、家を売る側の思惑やセールストーク、あるいは家を買う時点での見た目やスペックに対する感動によって、知らぬ間に「変化」に対するチェックポイントを見落としてしまうのです。

このページの先頭へ