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現場監督が来ない現場もある

2018年10月22日「月曜日」更新の日記

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価格を抑えて家作りをする会社が、建築コストを下げるときに何を削るかといえば、まずは人件費です。わかりやすい例でいうと、建築現場に現場監督がいない、ということがあります。建築の現場では、さまざまな職人が集まって仕事をしています。足場を組む人もいれば、左官屋もいますし、電気工事をする人もいます。彼らを束ねて施工の管理をするのが現場監督です。ほかにも、建材の発注や職人の手配、施エコストの管理など、監督の仕事はたくさんあります。質の高い家を建てるために欠かせない、重要な役どころです。1人の監督が1年間に管理できる住宅の棟数を何棟にするかによって、会社の人件費は大きく変わってきます。丈夫で暮らしやすい住宅をていねいに建てるためには、年間15棟程度が適当だと思いますが、パワービルダーなどはコスト削減のために1人に年間40棟も50棟も担当させるため、監督が現場に行けなくなるのです。たくさんの現場を監督させるということは、つまり、会社として「現場を知らなくていい。お金の管理だけしてください」と言っているも同然です。では誰が建築現場の管理をするのかといえば、外注された大工です。大工が悪いわけではありませんが、社員ではないため責任感はどうしても薄れてしまいます。すると、建物の質は現場によってバラつき、ときには手抜きのような仕上がりになってしまうことがあるのです。手抜きのような箇所は、たいていプロにしかわからない細かい部分ですから、購入者は気がつきません。たとえば、家の構造を補強するために、柱と柱の間に「筋交い」という部材を入れるのですが、これがきちんと納まっていないことがあります。これでは設計上でいくら強度を計算していたとしても、実際には計算どおりの強度が出ず、家にガタがきてしまいます。放置しておけば、家はゆがみ、住まいの寿命も短くなってしまうでしょう。現場を知らない現場監督は、本当にたくさんいます。私の会社にも以前、他社で3年ほどの監督経験があるにもかかわらず、建築現場のことがわからない、という人が来ました。それほど名ばかりの監督は多く、現場がおろそかにされているということでしょう。

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