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単純で難しい増改築の目的

2019年3月24日「日曜日」更新の日記

2019-03-24の日記のIMAGE
" さて、増改築の仕事は新築に比べてかなり独特であるということはわかっていただけたと思います。ここでは、「単純である」ということと「難しい」ということを取り上げますが、まず初めのほうからいきましょう。  一般に増改築の場合、現在の家をベースに考えるわけですから、新築のように「家賃を払っても自分のものにならない」とか「とにかく家がほしいわ」から、すでに何歩か踏み出した状態にあるといえます。さらに、そこでの実際の経験に基づいて、要求内容が「部屋が狭い」とか「システムキッチンがほしい」とか「もっと光を」 などとたいへん具体的であり、等身大であり、今置かれている状況を把握しながら進めることができます。これは新築を思い立ったときの漠然とした夢物語に比べたら、かなり現実的でわかりやすい内容になっています。 単純といったのはこうした意味なのです。  さて難しいという部分は、この単純さが諸刃の剣になるということなのですが、つまりベースがあるため自由な発想というわけにはいかなくなるということです。どうしても現在の延長線上で計画を考えるという制約がついてきます。現在の使用状態に制約されて、そこをクリアしないと次には進めません。  「増改築はお金をかけたほどにはよくならない」。この不自由さに制約されて、それを克服できずによく言われる台詞です。たしかに、そうかもしれません。ほんとうは初めにもう少し関心を持っておけばよかったのでしょうが、そのときは全体の広さや、駅からの時間、子供の学校のこと、多少のまわりの環境のことだけしか頭になかったわけです。増改築でようやく自分が今住んでいる住宅と、初めて真正面から向き合うことができたわけですから、このチャンスを逃す手はありません。  もともと住まいというのは、もっと真剣に収り組まなければいけない大きな買い物だったはずです。今気がついたわけですから、これから大いに興味を持ってかかわっていただけたらきっとよいことがあるはずです。"

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