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すっかり膨らみきった見積書が施主のもとに届く

2019年4月1日「月曜日」更新の日記

2019-04-01の日記のIMAGE
また、リノベーションによってできあがるイメージにいろいろな願望が入り交っています。ご主人と奥様の間でも結構大きな違いがあったりします。工事の進捗につれて、できあがりのイメージがどんどん膨らんでいった結果、途中で気分が変わり、「あれも欲しい、これも欲しい」が始まります。最初のうちはふんふんと聞いていたご主人もそのうちに、「そんなのじゃなくて、俺はこうしたいんだ」夫婦喧嘩のゴングが鳴ります。目の前で、罵り合う2人を前にただでさえ、あまりやる気のしていない業者はため息をつきます。「だからリフォームなんてやってられないんだよ」なんとかなだめて、途中の仕様変更を確認します。それでも、短い時間での打合せと、任せている部分と拘りたい部分の微妙な相違が、次第に施主と業者の間にも溝をこしらえていきます。業者の面倒くさそうな態度やいっこうに進まない施工にもイライラが募ります。そして、見積もりです。最初の予算を大幅にオーバーしています。業者側の本音としては、「途中からあれも欲しい、これも取りつけて。床は御影石、木目調のシートじゃなく、本物の木(モク)にして、なんて言ってたら値段が上がるのはあたりまえだよ。カネさえかければいくらでもよくしてやらあ」になります。そしてすっかり膨らみきった見積書が施主のもとに届きます。キレた施主は、 「最初に安いこと言って、結局はこんなに高いじやないのよ」と噛みつきます。そこで、また仕様の練り直しです。そのうちに、妙に豪華な部分と、著しくコストセーブしたチーフな仕様の入り混じったなんとも珍妙な部屋が完成することになります。なんとか工事は終わり、無事物件の引渡しになると、この劇はクライマックスを迎えます。施主側はリノベーションに対する期待値が大きかった分、そのできあがりに大いに失望し、さらに、当初よりもはるかに高くなった費用を見て、この責任はすベて業者のせいにしたくなります。一方で業者の側は、途中で最初に言ったことと、全然違うことを命じられたって、やりようがない。いいものにしろ、と言ったからそのとおりにしたのに、あとから「高い!」なんて言われたって、困ってしまう。もともと何にも知らないくせに、途中からどこかの雑誌で身につけた知識なんかで勝手なことばかり言って、まったくもってリノベーションなんてやりたくない。「もっと値段を下げろ」、「いやあ、もう勘弁してくださいよ」の応酬となり、結局どちらにとっても消化不良を感じて幕引きになる。これが今までのリノベーションで多く見られる実情です。

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