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エネルギーコストの無駄遣い

2019年4月12日「金曜日」更新の日記

2019-04-12の日記のIMAGE
もともと住宅として造られていないことから感じられる「異質感」が、普通の住宅とは異なる「独自性」となり、あなたのライフスタイルを強烈に演出することができるのです。海外に目を転じると、このようなコンパーションはあたりまえのように行われています。以前仕事の関係で、欧米の投資家のオフィスに伺う機会が多くありました。彼ら投資家の多くは、比較的少人数のファンドマネージャーで運営されているのですが、彼らの勤務するオフィスは、普通の会社のオフィスとはずいぷんと異なるものでした。彼らはたとえば、以前はマンションだったり、倉庫であったものを自分たちの好みの内装や設えにコンパーションしたうえで、自由に勤務していました。ちなみに服装も自由でラフないでたちでしたので、日本からスーツをびしっと着てやってきた我々は妙に違和感を覚えたことが印象的でした。イタリアのミラノで訪れた世界的投資銀行のオフィスは、築200年くらいの石造りの古い建物の中に、最新鋭の設備が整ったオフィスが隠されていて、大変に驚かされました。パソコンがずらりと並んだ部屋に世界で刻々移り変わる投資家用のデータが映し出され、近未来的なデザインのミーティングルームで投資の話をする。建物の外観と中身の描き出すコントラストに歴史の融合を感じたものです。また、同じミラノで宿泊したホテルは、以前は教会であった建物の中に真新しいホテルが存在していました。はじめは、ホテルの存在がどうしてもわからない。地図を頼りに建物にはたどり着いたものの、教会しかない。困って、通りを歩いている人に尋ねると、「おまえは今、そのホテルの前にいるじやないか」と言われ、びっくり仰天しました。既存のステンドグラスをはじめ、重厚で荘厳な外観や内装を極力活かしながら、部屋の中は水回りも最新の設備が施された、非常に居心地のよい空間でした。また、フロントやロビーなども教会の雰囲気をそのままに、天井高10メートル以上はあるレストランでの朝食も、最新式のホテルでありながら、ちゃっかりと、ヨーロッパの伝統と格式を借りてきた素敵なものでした。 このミラノでの事例とまではいかなくとも、建物の躯体がしっかりとしていれば、その中身を、徹底的に変えていくリノペーションやコンパーションは、すでに社会インフラの椎った日本でも主流となってくるものと思われます、また、一度造ったものを壊して建てなおすことはエネルギーコストの無駄遣いとも言えます。環境保護が叫ばれる現代において、今あるものをそのままに、中身だけを変えていくことは、時代の要請にもかなった考え方とも言えるでしょう。

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