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住宅やそれにまつわる生活に対する価値観

2019年4月25日「木曜日」更新の日記

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若者の年収がどんどん落ちています。国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、若者の年収は1996年から2009年の13年間に約16%減少しています。20歳代後半になっても年収は355万円にすぎません。月収30万円程度、これが働き盛りにさしかかる30歳代前半になっても427万円、月収で40万円にも届かないのです。最近では、昔とは異なる意味での「年齢給」なる用語が流行っていて、従業員の年齢と同じ額の給与が定着しつつあると言われています。ただでさえ、全体人口に占める若者の割合は縮小し、世の中に対する発言力が弱くなっているうえに、収入まで減らされたのではたまったものではありません。就職しようにも、最近の就職率は大卒でも91%と過去最低を記録するありさまです。今の若者は企業、あるいは職種を選ぶというよりも、何とかどんな会社でもいいから入れていただこうという思いで、100社近くもエントリーシートを提出したりしています。若者といえば、以前は体制に反旗を翻し、何にでも批判をして、向う見ずな行動も厭わない象徴でもありましたが、最近の若者はすっかりその影を潜めてしまっています。若者は今や溌刺とした生気あふれる存在から、「若者=じゃくしや(弱者)」になってしまっているのかもしれません。こんな彼ら彼女らですが、この世代こそが、逆に新しいライフスタイルを築いていける世代なのではないかと期待しています。なぜなら、マンションに価値がないことなんて、彼らはとうの昔に知っているのです。親がすでに持っているので、あらためて買う必要も感じないし、住むことのできる空間さえ確保されていれば、何も大きな家を持つ必要なんてない。ましてや、そのために多額のローンを組むなどという発想は彼らの頭の中にはまず存在しません。また、車のない生活には慣れていますし、そもそも最近では車でデートするなどということもほとんどないそうですし、ましてや、車がステータスなんて思ったこともない世代です。よい学校を出たって、その先が保証されているわけではないことは、自分たちの親や学校の先輩たちを見ていてもあきらかだし、就職先だって未来永劫お世話になると思って入社している学生は少数派でしょう。このように戦中世代、団塊世代はもちろん、その後の昭和30年世代ともあきらかに異なる価値観を持って育ってきた現代の若者が社会の中核を担う頃には、日本の世の中も大きく変貌しているかもしれません。それでは、こうした若者を中心とした価値観が今後どのような形で変わるのか、あるいは変わっていくべきなのかを、住宅やそれにまつわる生活に対する価値観として考えてみましょう。

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