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世界的な視野で評価してしまう

2019年5月8日「水曜日」更新の日記

2019-05-08の日記のIMAGE
私は、ことあるごとに将来性のある街の定義を語ってきました。繰り返し要約すると、「専用面積の広いファミリータイプの物件の賃料相場が高いエリアは、多忙な高額所得層の家族が望む都市文明の成熟度が高く、かつ夫(または、賃料負担者)の職場に対して職住近接であるエリアである。また、その子の通う学校も近接している」つまり、高額所得層の家族の職住近接と学住近接という概念で説明してきたわけです。どんなに富裕層、高額所得層になっても、時間だけは買えません。ただ節約して、効率的に時間を使うことはできます。すぐ近くに職場がある。タクシーなど車の利便性がいい。新幹線や飛行場の利便性がいい。おいしいレストランがたくさんある。教育環境に優れ、学校の選択肢が多い.........。こうした条件が満たされるのは、東京なら港区、千代田区、渋谷区などの丘陵地周辺だけです。「そして、多忙な高額所得層は、長期の休暇がとれたらファーストクラスでどこかへ旅立ってしまう。「もしも、東京の自然環境や眺望に不満があれば、最高の環境を得るために、沖縄、ハワイ、ロサンゼルス、シドニー、モナコなど、好きなところに別荘を買えばいい。彼らは、本気でそう思っています。私たちのような庶民とは、違う発想をします。対照的なのは、地方出身者の一次取得層つまり庶民派サラリーマンです。たった一つしか買えない不動産に、人生の快楽のすべてを託そうとするので、それでたとえば夜景と広さだけが取り柄のマンションを買ってしまいます。つまり、郊外や、臨海部や、ニュータウンの高層マンションを買ってしまうのです。その高層マンションの足元には、ファストフードやファミレス、チェーン系の居酒屋しかありません。買い物は、ナショナルチェーンのGMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア)や食品スーパー以外には何もない。加えて、電車での通勤地獄はますますひどくなってしまう。結果として仕事の効率は悪くなり、終電車を気にしながら仕事や人脈づくりをしなければならない。前者エリアの賃料相場は高いが、後者エリアの賃料相場は低い。つまり、「負け組みは、より負け組になっていく」し、「勝ち組は、より勝ち組になっていく」という仕組みになっているのです。格差社会の構造が、より鮮明になっていく。そんな社会状況が、不動産の評価法にも反映される時代になってしまったのです。したがって、見方によっては収益還元法、ほど残酷な不動産の評価手法はないということになります。まったく情け容赦がない話なのです。ロバート・キヨサキ風に表現すれば、金持ち父さんの街にある物件と、貧乏父さんの街にある物件を、明確に色分けしてしまうわけです。富裕層の街と、低所得層の街の差異を、唯一つの価値観、すなわち賃料によって、一刀両断に斬ってしまいます。経済的なパワーが相対的に衰え始めた日本における不動産の価値を、世界的な視野で評価してしまうのです。

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