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何だか意味のわからない評価方法

2019年5月9日「木曜日」更新の日記

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究極の収益還元法とは、円建てではありません。ドル建てなのです。あるいは、ユーロ、元、ルピー建てで評価するという考え方です。1ドル100円なら、5000万円の土地は8万ドルです。購買力平価による為替相場の把握法に、ビッグマック指数という尺度がありますが、それと同じ考え方をしてもいいのです。もちろん、プラチナやゴールドの何オンスに換算してもいい。言い換えれば、農産物でも、工業製品でも、同じ付加価値を生む不動産に関わるコストは、最終的には世界中どこでも同じ価値に収斂することを根拠に土地を見るわけです。「もしも、あなたが「ドル建てといわれても、自分の生活には関係ないし、両親と一緒に、ずっとこの場所で暮らしていれば、不動産の価値は円建てでしか見る必要はないはず」と考えたのなら、やはり、あなたは農耕民族です。「あなたは、移動を拒む、定住好きな人間なのです。住む場所は、いつまでも変わらないと考えている。しかし、仮に失業したらどうなるでしょうか。あるいは要介護状態になってしまったらどうなるでしょうか。そのときに、自宅に資産価値がなかったら、きっと困るに違いありません。もう、そのときは、手遅れなのです。リバース・モゲージ(=自宅を担保に融資を受けて、死亡したときに清算する金融商品)も使えない。遺言信託で荒稼ぎする信託銀行も、貧乏な層は相手にしないでしょう。世界中には、何百兆円もの資金を持って、東京の都心に限らず、名古屋や、福岡や、時には北海道のリゾート地を、虎視耽々と狙っているファンドがあります。最近は、中国人の個人投資家さえいます。彼らは、円建てで、日本の不動産を評価したりはしないし、国際感覚を持つニュータイプの日本の金持ち層も、円建てでは見ない。それゆえに、外国の富裕層が買いたがるエリアの周辺の宅地価格が上昇するという明確な傾向も生まれました。もしも、読者が地方に引きこもって「世界と自分は関係ない」と思い込んでいたとすると、財産形成においてはひどい目にあうかもしれません。収益還元法は、短なる不動産の評価法ではありません。その裏側にある、経済メカニズムに関する思想まで読み解かないと、何だか意味のわからない評価方法なのです。

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