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予測する手法

2019年5月18日「土曜日」更新の日記

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私が提案する収益還元法の計算過程は、以下の通りです。これは、DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)の要素を加味した、オリジナルの直接還元法です。収益還元法には、主に直接還元法と、DCF法という2種類の手法があります。それをミックスしてしまったのです。なお、この2種類を詳述するつもりはありませんが、詳しく知りたい方は鑑定理論の専門書を紐解いてください。また、DCF法にもさまざまな変則バージョンがありますが、そもそも、これらの考え方は、すべて欧米から直輸入した舶来思想なので、細かくしてみても実際はまったく役に立たないのです。というのも、たとえば日本の民法や借地借家法の体系は、欧米のものとはまったく異なり、したがって、法務的なリスクが盛り込まれていないからです。法務的リスクについては、日本のほうが明らかに高く、それゆえ、特に賃料の低い物件については、当然、テナントの質が落ちるわけですから、そのような日本的な事情が考慮されてしかるべきだからです。要するに、アバウトに捉えても、何ら差し支えない。不動産とは、本来そのような代物なのです。余談はさておき、まず、基本的な考え方として、この賃料をベースにして価格を算定する収益還元法の考え方は、株式など金融商品の分析法と同じと捉えてください。不動産を金融商品と同じ、客観的な尺度で捉えます。不動産を財産として捉えるわけですから、この方法が最も適切なのです(もちろん、不動産を財産と考えない読者には関係ない話ですが)。たとえば「株価」が高くなる理由は、2種類しかありません。配当(インカムゲイン)が高いか、値上がり益の期待(キャピタルゲイン狙い)が高いか、理由はそれだけです。株の配当を「不動産の賃料」と置き換え、株のキャピタルゲイン狙いを「不動産の転売益狙い」と捉えます。この「転売益狙いの期待値」にDCF法の考え方を取り入れます。財産形成や資産価値の概念には、二つの指標しかありません。経済活動の基本は、すべて同じです。フロー(収支、損益)の価値観と、ストック(資本、資産)の価値観しかないのです。そして、収益還元法は、フロー(賃料)から、ストック(価格)を予測する手法です。

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