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一定の期間所有して、最後は売り抜ける

2019年5月26日「日曜日」更新の日記

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私は、時々、このような質問をされます。「新築マンションも、中古マンションも、同じキャップレートを使ってもいいのか?」DCF法の計算過程を取り入れた直接還元法は、マンションが中古になった場合に価格が減価する率を想定しています。経年ごとの出口(=換金)を想定する方法です。では、新築と中古も同じ尺度で考えるべきか。以降の、残存使用期間、耐用年数も変わるのではないか。早期回収という考え方はしなくていいのか。当然、建物は、古くなれば賃料が下がります。厳密には、古くなると街のニーズと最有効プランのミスマッチが起こります。古いから賃料が下がるのではなく、古いと、構造的にもリノベーションに限界が生じ、市場とのミスマッチが起き、したがって、賃料が落ちやすい。そういうことです。よって、キャップレートは同じでも、賃料の減価によって、中古マンションの収益還元価格も下がります。「また、収益還元法は、建物の品質がいいという状態が半永久的にずっと続くと考えます。維持し続けて、ゴーイングコンサーンという発想をするのです。地震もなく、地盤も安定しているので、杭もめったに打たない。そういう平野の多い欧米からやってきた理屈は、時に日本の国情に合いません。降水量も少ないので、洪水や山崩れの頻度も低いのです。ですから、彼らの住宅の耐用年数は、日本の2倍から3倍以上です。これは、石づくりの文明と木造の文明の違いでもあります。ですから、彼らは古くなった建物は維持費が余計にかかるだけと考えます。また、「一定の期間所有して、最後は売り抜ける」という戦略を前提にしている場合、いわゆる、「出口戦略」を重視する場合もあります。それが、DCF法です。その発想の根底には「建物が朽ち果てて使えなくなる」という想定が希薄なのです。つまり、原則としては、実質的な収入(純収益、ネットのキャッシュフロー)のみで計算することが、より重要な作業になるのです。

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