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決して強固なものではない

2019年5月31日「金曜日」更新の日記

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就職という言葉を使っていても、その実態は就社だったのです。多くの人々は、どこかの組織に属してサラリーマンになって生活を安定させたいと思っていました。そうしたサラリーマンからなる組織構造の実態は、江戸時代からの「村」が、「企業」に変わっただけなのです。要するに、社会学でいうところのゲマインシャフト(=共同体)的な構造を維持し続けていたわけです。当然、旧式のサラリーマンは、転勤を繰り返すにせよ、最後は本社があるところに戻ってくるということを期待しています。子会社に出向するにしても、本社を意識します。東芝だったら、いずれ東京に戻ってくると考えたいし、パナソニックのように本社が大阪であれば大阪に戻ってくると考えたいし、京セラなら京都に戻ってくると考えたいわけです。つまり、一生同じ会社に勤め続けるつもりなら、本社に近い住宅街が職住近接の場所と考えるでしょう。ところが、雇用が流動化する時代にあって、そういう従来の常識は通用しなくなりました。さらに、雇用する側の企業の経営も右肩上がりで成長するものではなくなりました。企業の倒産も珍しくないし、倒産しなくとも企業買収の対象になれば、やはり雇用の安定性は揺らぎます。一生懸命に働いて勝ち取った役員という立場も、決して強固なものではありません。

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