SUMAIRINA

トップ > 元年10月> 28日

不動産で贈与か、金銭で贈与か?

2019年10月28日「月曜日」更新の日記

2019-10-28の日記のIMAGE
教育資金や住宅を取得するために親から支援を得るときは直接金銭の贈与を 受けることが多いのですが、前もってその必要性を考えれば、収益を稼げる質 貸建物等の贈与を受けても、また子どもの居住用なら親と共有名義にしてもよ いわけです。金銭で贈与するか、不動産を贈与するかは、当然にその目的から 決められるものですが、プランニングによってその選択の幅は広がります。(1) なぜ不動産の贈与を受けるのか贈与時の課税価格は財産評価基本通達の定めを基本とします。金銭ならその 金額で、その金銭で購入した株式なら贈与時の株価だけでなくその月、前月、 前々月の月終値平均価格でもよく、建物なら固定資産税評価額(新築なら取得 価額の6割程度)を基にさらに時の経過とともに3年ごとに減価し、宅地なら 路線価(地価公示価格の8割程度)を基に評価されます。郊外の 2,000 万円の 中古マンションなら 1,200万円程度の評価になり、賃貸している物件ならもっ と低い評価となるでしょう。 しかし、不動産の贈与を受けると手続きが面倒なだけではなく、贈与による 取得に伴い登記の費用や不動産取得税がかかります。また取得時期と取得価額 を引き継ぐので、含まれたキャピタルゲイン・ロスを継ぐことになり、所有・ 維持に伴い毎年の固定資産税・都市計画税、修繕費の経費負担を負うことにな ります。そして、所有者としての責任も負うことになり、賃貸していると賃貸 人としての敷金返還債務などの義務を負い、管理・経営能力も求められます。 子孫として家族を守り家産を確実に承継・維持していくことの大切さと難しさ を知り、後継者としての自覚からも不動産の贈与の意味があります。さらに、もう一歩先を考えて、同族会社の株式はどうでしょうか。適正な時期に適正な贈与の方法によれば節税もできそうです。新し い相続時精算課税(第5章参照)を選択するか、暦年課税とするかも含め、プ ランニングを立て合理的に時間をかけて実行することが大切です。(2) ちょっと一言子どもが所帯を持つ年齢になっても可愛い子、気に入らない子など親として の感情はさまざまです。可愛い子だけに贈与すれば、将来他の子どもに与える 法的・感情的な影響はどうでしょうか? よい面、悪い面も表面化します。贈 与は、親と子各々の間、子ども(その配偶者も)相互間の絆を強くすることも あれば、また争いの種になり得ることもあります。家族の強い絆が家族と家産を守り、また自分の身を守る(要介護生活、死後 の後始末ために、偏った贈与によりトラブルが生じないよう、 感情に走らない冷静さと、豊かな心を持ちたいものです。

このページの先頭へ