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ライフサイクルコストを見極める1

2019年11月18日「月曜日」更新の日記

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きちんと長期事業収支を計算し、節税を意識しても、もうひとつの重要な点を忘れると、その計算が大きく狂ってしまいます。それは建物の「ライフサイクルコスト」。というのも、貨貸住宅というものは、建物の維持管理に驚くほどお金がかかるからです。建物の建築費は、じつはコスト全体の5~30パーセント程度にすぎません。残り3~5パーセントを修繕や設備などの更新費が占めているのです。「保全費」とは、建物を維持していくためにかかる基本的なコスト。「修繕費」と「更新費」は文字どおり、壊れたものを直したり、設備を更新したりする際にかかるコストです。「運用費」と「一般管理費」は、前述の長期事業収支計算表のところでも説明した、ごく基本的な投資にかかる管理費やランニングコストを指しています。このライフサイクルコストは、いつかその物件に寿命が来て取り壊す「建物の解体にかかるコスト」まで含めて考えることになっています。建物を新築したものとして「建設費」が試算されています。一方で中古物件の場合は、これとやや考え方や状況が異なります。物件価格の割安感から中古を選ぶというのはひとつの有効な選択肢ですが、イニシャルコスト(物件価格)の割安感だけで飛びつくと失敗の可能性があるのです。というのも中古物件は、ランニングコストなどまで含めた建物のライフサイクルコストのボラティリティ(変動性)が非常に高いからです。わかりやすくいえば、建物の経年による劣化や点検・メンテナンスの不備、新築当時の施工状などの影響によって、建物の品質・コンディションがばらばらだということです。たとえば、物件価格が割安感のあるものであっても、その後の点検・メンテナンスにお金がかかったり、建物が長持ちせず、結果として建物のライフサイクルコストが大きく膨らんでしまったりる可能性のある物件も、市場にはたくさん混ざっています。現在の中古物件市場においては、建物の品質が玉石混交であるために、購入時点でのコンディションの見極めが重要なのです。オフィスビルをはじめプロが扱う不動産投資物こうした水面下のコストやリスクについて徹底的に調べ上げるのが常識です。それに引き換え個人の不動産投資家は、表面的な収支計算にばかり熱心で、こうしたコストの重要性への理解に乏しいのが現状です。正直、「あまりに無防備」といわざるをえません。

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