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借地契約における地主・借地人の義務とは③

2019年12月31日「火曜日」更新の日記

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②善良な管理者の注意義務(善管注意義務)をもって目的物(借地)を保管するとともに、目的物の用法にしたがって使用・収益すべき義務借地契約は賃料を支払って他人の土地を使用・収益させてもらう契約です。土地の使用・収益は原則として自由にできますが、目的物たる土地の所有権はあくまでも他人(地主)のものですので、借地人は土地を滅失・穀損させることのないよう注意しながら使用・収益しなければなりません。これを「善良なる管理者としての注意義務」、略して善管注意義務といいます。この善管注意義務とは、借地人として通常期待されている程度の抽象的、一般的な注意義務をいいます。行為者の具体的な注意能力に応じた個別的、具体的な注意義務を「自分の財物におけると同一の注意義務」といいますが、善管注意義務はこれよりも重い注意義務です。借地人がこの注意義務に違反して土地を滅失または穀損した場合には、借地人は地主に対して生じた損害を賠償する責任を負うとともに、その程度によっては借地契約を解除されることにもなります。もっとも、借地の場合は借家と異なり、土地が滅失したり穀損したりということは通常あまり考えられないので、借家におけるほど注意しなくても足りますが、それでも地下に地盤沈下をもたらすような大きな空洞を作るとか、がけ地の上にある借地のがけっぷちを削りとってしまうとか、借地上に極端な土盛りをするなどして現状を大幅に変更する行為は、この義務違反に該当する恐れがあります。さらに借地契約において、借地上の建物の種類、規模、用途等に制限を加えている場合には、借地人は定められた目的・用法に従って、土地を利用しなければなりません。⑧目的物を返還する義務借地人は地主から借り受けた土地を契約終了時に返還する義務があります。その際、民法の原則では、借地上の建物を収去して土地を原状の更地に復して返還することになっていますが、借地権の場合には、借地人には地主に対する建物買取請求権が認められていますから、これを行使すれば建物を収去することなく、逆に買い取らせて借地を返還できることになります。

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