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借地権と借地法制の変遷

2020年1月2日「木曜日」更新の日記

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借地権とは、どういう内容の権利であるか。借地法制の変遷により、借地権がどのように変化して、現在に至っているかを見る。借地関係の法律の変遷を、ごく大雑把に見てきたが、この項では、借地権というものが、どのような変化をしながら、現在、どのような内容になってきたのかを、具体的に検討していくことにする。..まず、現在の民法典が制定される以前に制定されながら施行さ民法典の成立れなかった旧民法(ボアソナード民法)という法律があった。これは、フランスの学者ボアソナードの指導の下で、フランス民法を下敷きとして作られたものであったが、特にその中の親族編が、旧来の日本の家族制度と異和感があったため、「民法出でて、忠孝亡ぶ。」という論議が起こり、これを手直して、明治29年に現在の民法典が制定され、施行され、いくつかの改正をへつつ現在に至っている。ところで、この民法典には、建物を建てて立法者は地上権による借地を予定していたが、一地上権と賃借権所有するために他人の土地を借りる権利として、当初から地上権と質借権とが用意されていた。民法制定時の建物といえば、ほとんどが木造の建物であったが、墓長屋の粗末な建物でも、その寿命は30年以上はあったし、本格的な建物となれば、50年、60年ぐらいは充分に長もちするというのが常識であった。したがって、建物を建てて所有するために土地を借りるのなら、皆は、存続期間が20年と制限されている賃借権でなく、その建物の予想寿命に合わせて自由に貸主・借主の話し合いで存続期間のきめられ、かつ、その権利も安定している地上権を利用するだろう。そういうように立法者は予定していた、といわれている。しかし、予想に反して、土地を貸す方(地主)は、借地人に強い権利を与えるのを嫌って、地上権の設定に応ぜず、借地のほとんどは質貸借によってなされていった。

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