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借地借家法の改正

2020年1月7日「火曜日」更新の日記

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平成3年の借地借家法の改正にあたって、これまでの判例の微み重ねによってはっきりしていた部分を条文化し、判断基準を明確化しようという動きが出てきて、次に述べるように改正されている(借地借家法6条1)。すなわち、まず、1地主と借地人とが土地の使用を必要とする事情が主たる要素として考慮される.......すなわち、地主が土地の返還を受けて建物を建てる必要性(地主が土地を売却する必要性)、借地人がその建物を継続して使用することの必要性、また、他に土地を利用できる可能性が比較考慮される。2借地に関する従前の経緯......土地をどういう事情で貸借したのか(恩恵的に貸したのか、純然たる経済行為として貸したのかなど)、権利金、更新料の支払いの有無やその類、地代の額や支払状況など。3土地の利用状況......借地人がどういう建物を建てて利用しているか、建物の老朽化の程度、また、周辺の地域の状況など。4地主が財産上の給付をするという申し出をしたときは、その申し出の内容......地主が立退料や代替土地の提供を申し出た場合は、その金額など。これは、上記の1~3までの事情だけでは、まだ、地主側に正当事由があるとまで判定されないが、申し出た立退料を加味すれば地主に正当事由があると判断できるというような場合に考慮される。立退料を考慮しなくても1~3だけで正当事由があると判断される場合も当然ある。なお、この改正条項は、従来の判例の判断基準を明文化しただけのものであり、実質的には改正前と変わらないものであるが、従来からの借地人の危惧を考慮して、既存借地権には適用しないとされているが、そういう性格のものであるから、今後の裁判において、既存借地権についても、この改正条文と同じ基準で判断されるといわれている。さて、上記のようにして更新された後の借地権の存続期間は、更新後の借地権借地法によって、更新後の存続期間が約定されなかったときの存続期間は、1堅固の建物の場合は、30年2非堅固の建物の場合は、20年と法定されており、この期間内に建物が朽廃すれば借地権は最終的に消滅することとなる(旧借地法5条1、4条3、6条1)。また、更新後の存続期間を前記以上の期間に約定したときは、その約定期間によることとなる(旧借地法5条2)。通常は堅固の建物の場合で30年、非堅固の建物の場合で20年と約定される。なお、存続期間を約定した場合には、その期間内に建物が朽廃しても、その約定期間内は借地権が存続する。

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