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借地権の評価

2020年1月15日「水曜日」更新の日記

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相続税においても、地上権である借地権については、その評価方法が明治38年の制定当初から法定されており、賃借権である借地権についても、高額な権利金が授受される場合について、大正時代に入って順次課税対象とされるに至ったが、これが一般化したのは、戦後の財産税(昭和21年)で、東京および横浜地方における借地権の評価が、評価基準をもうけて広く評価され、その後、昭和22年の相続税から、全国的に課税されるに至っていく。その当初においては、借地権の設定されている宅地の賃貸価格に存続期間に応じて定めた一定倍数を乗ずる評価方法を採用していたが、昭和22年の改正で、現行法のように土地の更地価格に一定割合を乗ずる計算方法に改められるとともに、借地法の適用を受ける借地権を、この評価方法の対象外とした。その後、富裕税(昭和26年)の評価において、東京・大阪、大都市、中都市、小都市、町、村という大雑把な区分であるが、その区分ごとの商業地帯(繁華街その他)、住宅地帯、工業地帯、村落地帯別の借地権割合による評価基準が示され、その後の路線価方式による評価方法とともに、この割合方法による評価が定着し、全国に普及していくこととなる。相続税等における借地権の評価方法として、借地権割合による評価方法が採用され、定着していった背景として、借地権が売買される場合の取引価額の決定、また、新規の借地権を設定する場合の権利金の決定において、更地価格に対する一定割合を基準として話し合い、決定していたという事例があってのことであるが、この相続税の評価方法の定着が、借地権取引にあたって、割合法を基準とすること、そして、さらに、相続税評価基準に示された地域ごとの借地権割合を基準とすることを推し進めたという影響を与えている。特に、路線価の設定されている地域においては、その割合を把握しやすいため、相続税の評価における借地権割合が、逆に、その地域の取引上の借地権割合をリードしていったことも認められているところである。また、公共事業における買収・収用、また、都市再開発事業における権利変換の際の借地権の評価に、この相続税の借地権割合が参考とされることなども、この借地権割合の定着と普及を助けていったともいえる。

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