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地上権と賃借権

2020年1月24日「金曜日」更新の日記

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建物の所有を目的とする地上権と賃借権とは、どう違うか。それぞれの評価の差。借地権を設定するときのタイプとして、民法では地上権と質借権とが用意されているが、地主は強い権利である地上権を選択することを嫌い、借地権のほとんどは賃借権として設定されていること、そして、その後賃借権である借地権について、いろいろな保護が加えられて、地上権である借地権に近づいてきたことは、「2借地権と借地法制の変遷」で詳しく述べた。このように、賃借権である借地権が地上権である借地権に近づいてきたといっても、地上権である借地権とまったく同じになったわけではない。その差を理解するため、まず、地上権と賃借権との違いをここでもう一度ふり返ってみてみる。民法では権利を大きく分けて、物権と債権とに分類している。物物権と債権権の一番典型的なものは、所有権であり、物を直接支配し、また処分できる権利であるといわれている。所有権以外にもいろいろの物権があるが、これらは用益物権と担保物権とに分けられる。用益物権というのは、物を直接支配して利用できる権利であり、地上権、永小作権、地役権、入会権などがある。担保物権というのは、金銭を貸し付けたときなど、その担保として物を直接おさえておこうとする権利であり、留置権、先取特権、質権、抵当権がある(このほかに占有権という現状の物の支配状態を認めようという物権もある)。債権というのは、他人に何かをさせることのできる権利である。歌手と契約して、舞台で歌わせる権利などが、もっとも債権らしい債権といえよう。土地の売買契約をすると、買主は売主に対してその土地の所有権を自分に移転させる権利、その土地の占有権を自分に引き渡すようにさせる権利が生じる。この権利が債権である。そして、その内容をなしている所有権や占有権というのは物権であり、所有権の移転や占有権の引渡しを受ければ、もう売主と関係なく、その土地を直接支配できるようになる。地上権の設定契約をしたとき、それは土地所有者に対し地上権と土地賃借権地上権を設定するよう要求できる債権が生じたことになり、設定された地上権そのものは物権である。その後、地上権設定の条件の範囲内で、その土地を直接支配して利用することができる。地上権の設定登記をしておけば地主が変わっても関係ないし、地主に無断で地上権を譲渡することも自由である。

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