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移動しながら沈下していくハワイ

2020年1月26日「日曜日」更新の日記

2020-01-26の日記のIMAGE
土地の自然的特性として、地理的位置の固定性、不動性(非移動性)、永続性(不変性)が、不動産鑑定評価基準の冒頭に掲げられている。我々の日常的感覚からすれば、毛ほどに疑問をはさむ余地はなさそうである。しかし、しかし、ハワイの観光で、七島巡りの遊覧飛行から帰って、オアフ島ホノルルのワキキキ・ビーチで寝そべりながら、この島が、かつては今みてきたハワイ島の位置にあったといわれたことを想い浮かべると、この島ごと、太平洋を漂流しているような錯覚にすら陥って夢見心地になる。1912年にウェーデナーが大陸移動説を唱えたとき、それはかつての地動説以上に荒唐無稽な世迷い言として耳を傾ける人も少なかったが、今では、大陸と島々とそして海底を乗せたプレートが移動することを否定する学者はいないし、教科書にものっている。ハワイ島は北太平洋の真中でスポット的に活動している火山の噴出物によって生成した島であり、標高4、206mという富士山より高い山が聳えている。しかし、北太平洋プレートは、この島を乗せながら、日本列島の方へ移動しており、そして、日本海溝あたりで、地底へと吹い込まれていく。過去のハワイ島は、沈みつつ島の面積を縮小して現在のオアフ島になっており、やがてミッドウェー島の位置にやって来て、島の本体は海中に没し、珊瑚礁だけが海面に出ている礁島になってしまう。その移動の速度は年に数センチメートルというから、100年で数メートル、かなりの速度といえよう。ひと頃、ハワイへの土地投資ブームが盛んであったが、子々孫々のことを考えれば、島の西海岸より、東海岸の土地を買っておいたほうが、相対的に長持ちするであろう。

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