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借地権のつかない建物の評価

2020年1月27日「月曜日」更新の日記

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建物の買取請求権を行使したときの建物の時価はどう評価するか。定期借地権等を除いて、借地権を地主に返還しなければならない法律上の義務が生じるということは、滅多には起こらない。ほとんどないといってよいだろう。しかし、ないこともない。その主な場合というのは、次の二つのケースである。借地期間が満了したとき、地主が自分で土地を使用する等の「正当事由」があれば、遅滞なく異議を申し述べて、借地を返還してもらえる場合がある(借地借家法5条・旧借地法4条、6条)。この場合の「正当事由」というのが認められる例というのはきわめて少ないが、ないこともない。この場合に借地人は、借地上の建物を買い取るように地主に請求することができる。これが、借地人の買取請求権である(借地借家法13条・旧借地法4条2)。もう一つ、旧借地人から第三者が借地権付建物の譲渡を受けて、借地権の譲渡や転貸について地主の承諾も裁判所の許可ももらえなかった場合、建物の譲受人は建物を買い取ることを地主に請求することができる。これが、建物の譲受人の買取請求権である(旧借地法10条)。この二つの場合に買い取れと請求できるのは建物だけであって、それに借地権の価額は含まれていない。この場合の建物の価額は、取りこわし後の廃材の価額ではなく、そのあるがままの建物として使用することを前提としての価額である。一般には、現在その建物を新築したらいくらかかるかという価額(建物の再調達原価)から、時の経過やその他の原因によって、価値の減じた分を差し引いて(減価修正をして)求めればよいであろう。

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