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場所的利益とは

2020年1月28日「火曜日」更新の日記

2020-01-28の日記のIMAGE
この「場所的利益」とは一体なんであるのか、と場所的利益とは」・いうことになると、諸説紛々とし、その諸説の内容もさまざまのことがいわれている。建物の再調達原価から減価分を差し引いただけで、「場所的利益」を参酌して織り込み済みだというわけのわからない判例もあるようであるし、「場所的利益」を参酌するということは、交通の便宜や環境の良否を考慮し、これを建物だけの価額に加えたものだという判例もある。しかし、更地であれ、借地権であれ、土地の価額というものは、交通の便宜や環境の良否をその中の大きな要因として形成されているのであるから、交通の便宜や環境の良否を考慮して加算するということになると、それは借地権価額の一部を加算していることになるであろう。そうなると、借地権価額は加算しないといっておきながら、実際には借地権価額の一部を加算していることになって、理論的にはどうもすっきりしない。私が考えるには、地主側に借地更新を拒絶する「正当事由」があったにせよ、また借地権の無断譲渡、転貸ということがあったにせよ、建物だけの価額を支払っただけで、経済的価値の相当に大きい借地権を無償で取り上げてしまうのは、やはりあまりに残酷でないか、ある程度のものは補償してあげるのが世間の常識であろうし、人情としてももっともなところではないかという、いわば苦しまぎれに考え出したのが、この「場所的利益」というものではないかということである。「場所的利益」の内容そのものが、すっきりしないので、場所的利益の評価|これをどのように評価したらよいかということは、非常に困難なことになる。しかし、判例をみると、建物付宅地価格なり、建付地としての価格なりの15パーセント程度で定められているケースが見受けられる(不動産判例研究会「判例不動産法12896-1頁、新日本法規)。一応これをメドとして、ケースバイケースで考えていくことになろう。

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