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建物譲渡特約付借地権

2020年1月31日「金曜日」更新の日記

2020-01-31の日記のIMAGE
借地期間を30年以上とし、借地期間が満了したとき、その建物を地主が相当の対価で買い取る契約(予約など)をし、借地期間満了時に地主が建物を買い取ることにより借地関係が終了することになるタイプの定期借地権である(同法23条)。具体的には、借地契約で借地期間を30年(または30年以上の約定期間)と定め、その期限経過の日に建物を譲渡する旨の特約をつける。建物の譲渡の契約については、上記の日に建物の所有権が地主に移転する売買契約を締結する(確定期限付売買契約)か、上記の日以後に地主からの予約完結権の行使がなされたときに売買が成立する旨の特約(売買予約)がなされることになる。この「建物買取型」は、文書によることは要件とされていないが、将来のトラブルを予防するために公正証書を作成しておくことがよい。また、建物の売買予約などに関し、仮登記をつけておくことがのぞましい。借地期間満了後、建物が賃貸用である場合で、借家人が使用している場合、建物所有者(家主)がかわっても、一般には、借家契約は引き継がれるので、借家人は従来の家質その他の条件で建物を使用し続ければよいことになる。地主側からみれば、借家人付きの貸家を買い取ったのと同じことになる。しかし、借地人が建物を貸す前に、上述のように、売買予約の仮登記などを付けていた場合には、それ以後に建物の引渡しを受けた借家人は、その仮登記を本登記に移した建物所有者には対抗できなくなるので、それまでの借家権は消えてしまって、建物を買い取った地主と、あらためて建物賃貸借契約を締結しなければならなくなる。そして、その契約条件がととのわず、契約が締結されない場合もあろうが、そういう場合には、借家人が建物所有者になった地主に請求すれば、その請求によって、期間の定めのない借家契約がなされたものとみなされることになっている。その場合の家賃について合意されない場合は、当事者の請求によって裁判所が定めることになる(同法23条2)。また、借地人が自分で使用していた場合にも、その請求によって、その後、借家人となることができるが、その手続きと家賃については、上記の借家人の場合と同様である(同条同項)。専ら事業の用に供する建物を所有する目的で借地するもので、借地期間が10年以上で20年以下であるものについて、借地期間満了時に更新しないとする定めができ、また、建物買取請求権を排除する定めをすることのできるタイプの定期借地権である(同法24条)。なお、借地人の事業には建物の賃貸も含まれているが、貸マンションなど居住のための賃貸は除くとされている。これは、大規模小売店、外食産業その他の飲食店、遊戯場などの現代型企業を中心とした第三次産業が利用する店舗設営のための借地で、店舗の展開、陳腐化の速さから、建物の経済的耐用年数が極めて短くなっているものに利用されるであろうと予想されている。なお、借地期間満了後、借地人は建物を収去して更地として地主に返還することとなるが、その建物が貸賃借されている場合は「長期型」の場合と同様である。なお、この契約は公正証書によってしなければならないとされている。私製の契約書などで作成されたものは無効とされ、普通借地権を設定したものとされることになるので、特に注意しなければならない。

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