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寿命の長い家は自然と環境を守る

2020年6月18日「木曜日」更新の日記

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人が家をつくり、そこに住むということは、土や樹木、音やにおい、空気や光などの環境の中に生きるということです。現状をみると、地球の本来もっていた自然のバランスがいたるところで励され、公害・災害が引き起こされ、環境の悪化が進んでいます。住宅用木材の供給源である森林をみても、毎年、1000万加もが消滅しているといわれています。森林の破壊と減少は、地球温暖化の原因にもなって、このままではやがては住環境を悪化させるでしょう。まさに、良い地球環境があってこその「良い家」といえます。昔は、日本の住宅は、木と土と紙でつくられていました。すべてが身近にあって、手に入りやすい天然のもので、やがては土や灰になって大地の中に帰っていくものでした。明治以後、人口は格段に増え、第二次世界大戦後になると、大家族が分かれて核家族化が進みました。住宅もまた、明治以前とは異なった規模で必要とされ、特に大都市圏では、高層住宅がたくさんつくられるようになっています。天然素、材が中心だった建築材料も、プラスチックやビニールといった石油製品から循環型資材、リサイクル材の活用など、多種にわたって増えました。世界中で、環境破壊と資源の枯渇が問題になっている今、これまで安易に行われてきたスクラップ・アンド・ビルト(建てて壊す)から、資源循環型の時代になってきました。建設リサイクル法が施行され、平成2年度には2パーセントだった建設副産物全体のリサイクル率が、平成8年における目標値では、コンクリート塊や建設発生木材等の再資源化率は5パーセントに設定されています。また、1997年に行われた地球温暖化防止京都会議で採択された京都議定書が2005年2月に発効になり、地球温暖化の原因となる酸化炭素などの温室効果ガスの削減を先進国に求めています。このような世界の動きに合わせ、二化炭素を出さない燃料電池や太陽光発電などの次世代型の発電方法なども開発され、徐々に商品化されつつあります。住宅についても、限りある大切な地球資源を使わせてもらうという気持ちでつくり、守っていきたいものです。木造住宅本体の寿命は、0~30年といわれていますが、木材は10年くらいは楽にもちます。日本の代表的な木材であるスギやヒノキは、伐採したあとですぐに植林しても、その木が成長して、材木として使えるようになるのに、3年ほどかかります。樹齢の分だけ木を使うようにすれば、森林は再生産されていきます。ただし、住まいを長持ちさせるためには、手入れが大切です。きちんと掃除をし、風通しをよくし、傷んだところはすぐに修理をしなければなりません。ムリなコストダウンをして、10年も経たないうちにボロボロになったり、使い勝手の悪い間取りでは、長持ちのしようがありません。埼玉県行田市で四年前につくられた古民家の改修では、大切に木材を使い、大梁を何回も転用していたことがわかりました。こうした、住み続ける知恵には感動します。適切な材料を使い、きちんとした施工が行われれば、多少コストがかかっても、耐用年数は長くなります。また、家族構成や生活様式が変わっても、それに応じて変化させることができる設計がしてあれば、住み続けることができます。寿命の長い家は、資源を大事に使い続けることで、自然を守り環境を守ることができます。長いサイクルで考えれば、住み手の得になって返ってくるのです。

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