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忘れずにしたい「遺留分」についての相続対策

2020年7月21日「火曜日」更新の日記

2020-07-21の日記のIMAGE
またこの場合、さらに、遺留分の減殺請求への備えも考えられていると万全です。ここで少し説明を加えておきますが......遺留分とは、民法で定められた一定の相続人が最低限相続できる権利のことです。遺言を優先しながらも、残された家族が困らないように設けられたものです。遺留分の減殺請求とは、遺言等により遺留分を下回る場合(遺留分を侵害されるといいます)、遺留分までの財産を請求することです。ただし、相続および遺留分の侵害を知った時から1年、または相続発生後10年が請求の時効期限となっています。たとえば、相続財産が自宅不動産と現金預金が少しだけ、というケースで遺留分減殺請求がされると、それに応じるために自宅を売却するしか手段がなく、最悪の場合住む家を失ってしまう可能性もあるのです。そうならないためには、配偶者を受取人として、遺留分相当額を支払えるだけの死亡保険に加入しておくなどの方法で対策ができます。なお、兄弟姉妹には遺留分はないことも憶えておきましょう。
「断片的な相続対策」に潜む落とし穴
事例の場合、義理の両親の相続放棄の意思に基づいて行った手続は、正しくできていたのですが、放棄された相続権が次順位である義弟の浩二さんに移ることへの対策がとられていませんでした。浩二さんは、母親ふみさんのアドバイスどおり相続放棄してくれましたから問題にはなりませんでしたが、実際の相続ではどのような対策ができるのでしょうか?まず、事前対策としてできることは、すでに考えましたが「遺言を書く」ということです。そもそも遺言書があれば、今回のケースに浩二さんが登場してくることはありませんでしたから、敏子さんが浩二さんに財産分割の話をしなくてはならない事態にはなりません。それでは、事例のように事前対策がなされていない場合はどうでしょうか?この場合、「祐樹さんに借金や保証債務がないことがはっきりわかっていれば」という条件付きにはなりますが、浩二さんを巻き込まない方法があります。それは、ご両親が相続放棄するのではなく、「敏子さんがすべての相続財産を相続する」という内容の遺産分割協議を行うことです。これはあくまで、「法律上は財産放棄ではなく、『財産0」を相続した」ということになり、相続人の地位は残りますから、敏子さんがすべての財産を相続できますし、相続権が浩二さんに移ることもありません。ただしこれは、繰り返しになりますが、被相続人に借金や保証債務がないことがはっきりしたうえで、はじめて検討すべき選択肢でしょう。

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