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相談の概要

2020年7月26日「日曜日」更新の日記

2020-07-26の日記のIMAGE
ある日、私の事務所に、相続に関する相談をしたいという電話がかかってきました。私は、普段どおりに来所してもらったうえで、相談を受けることにしました。来所したのは、まだ年若き2人の女性でした。「1ヶ月前、父が亡くなりました。それが他人の家で亡くなったので、その住人から慰謝料を請求されています。どうしたらよいでしょうか」私は、事情が事情なだけに、相談者の心情にできる限り配慮しながら用心深く聴き取りをしていきました。その結果、来所した2人の女性は姉妹であり、亡くなった「父」の子どもであること、2人の母が半年ほど前に自宅マンションで自殺していたこと、その後、父が家出をしたり、自殺を図ったりしていたことなど、あまりに過齢な事情が浮びあがってきました。一方、過酷な事情は彼女たちだけに生じたわけではありませんでした。父の亡きがらを発見したのは、父が亡くなった部屋の住人でした。その現場の状態が凄惨なものであったため、その住人は精神的なショックが激しく、その部屋に住むことができなくなったばかりか、食事もろくにのどを通らなくなっていました。そのような事情から、住人の親族は怒り心頭で、その矛先は年若き2人の相談者に向いていました。来所前、相談者は数回にわたり住人のもとを訪ね、その親族に謝罪をしていましたが、その都度、辛らつな言葉を浴びせられつつ、「慰謝料を払え」と連呼されたそうです。ひとしきり話し終えると、相談者は、あふれる涙を必死にこらえているようでした。そして、声をふり絞り「私たち、お金がありません。どうしたらいいでしょうか?」といいました。その質問にあえて直接答えず、私はこう切り出しました。「あなたたちは悪くないんだよ」その後、私が次の言葉を発するまでに、しばらく時間が必要でした。

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