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名義預金贈与

2020年7月28日「火曜日」更新の日記

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相続税の課税対象者は、直近の2012(平成24)年では死亡者数126万人に対して5万2,000人で課税割合は4.2%(国税庁発表資料)となっています。相続時の申告書を提出した後に税務調査になる確率は、約25%でそのうち80%以上が何らかの申告漏れを指摘されています。税務調査の立会で、現金・預金の申告漏れが多く指摘されます。今回は、税務調査で預金の申告漏れを指摘された事例をお伝えします。被相続人は夫、相続人は妻と子ども3名の計4名。子どもはすべて女性で3名とも嫁いでいますが、長女は両親の敷地内に自宅を建築し配偶者と住んでいます。被相続人は、公務員であったこともあって、相続税についての知識はある程度持っていて、相続税申告にあたっては、生前贈与も明確に記載されていました。ところが、税務調査になり調査官から、10年近く前の被相続人名義の預金通帳からの何回かの出金の使途が不明であると指摘されました。調べてみると、預金出金した日に相続人である長女の預金通帳に同額の入金があることが判明しました。長女に確認してみると、長女はその預金通帳の存在を知らず、預金通帳は母である被相続人の妻が保管していました。税務申告作成時、税務調査時には被相続人の妻は、「夫からの贈与は呈示したものしかない」と言い切っていましたが、実際には、この妻が保管していた長女名義の預金に、被相続人の預金から振り込まれており、長女のために使用されずそのまま保管されていました。10年近く前の預金振り替えであるので、贈与税となるのではないかと思われるかたもいらっしゃいますが、贈与契約が成立するためには、贈与者が贈与する意思表示をし、相手が受諾することにより効果が成立します。今回は、被相続人の父親は、長女への贈与の気持ちは持っていたのですが、長女はそれを受け取った意思表示はありません。このため、贈与契約は成立しておらず、10年近く前の預金移動であってもそもそも贈与とはならず(贈与税の時効期限は関係なく)、「長女名義の被相続人の預金」(名義預金)として相続財産として組み入れられました。「名義預金」について、相続対策セミナー等でお話しすると、必ず驚かれる方がいらっしゃいます。「名義預金」で相続税を追徴課税されるほど、残念なことはありません。相続学校で相続についての知識を学び円満な相続申告と納税を行いましょう。

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